雑誌に出てくるようなすっきりと整ったお部屋に憧れつつも、なかなか理想通りにいかないのが現実というもの。特に賃貸暮らしの場合は壁を傷つけられないという制限があるため、お部屋の雰囲気を変えるのは簡単ではありませんよね。
今回は、そんなジレンマを解決するため賃貸でもOKな「お部屋をすっきり見せながら居心地よく整える方法」をご紹介します。教えてくださるのは、整理収納アドバイザーの梶ヶ谷陽子さん。真似したいアイディア満載のご自宅にお邪魔して、お話を伺いました。
暮らしも心も豊かになる、整ったお部屋作りの魅力
−まずはリビングを拝見。わんぱく盛りのお子さんが2人もいるとは思えないほどすっきり整っていて、過ごしやすそうです。私たちも梶ヶ谷さんのように上手にお部屋作りができるようになりますか?
梶ヶ谷さん:もちろんです。片付けや収納など、習ったことがなければ上手くできないのは当然ですよね。もちろん私も始めは片づけの意味や方法を知りませんでした。働きながら勉強して「整理収納アドバイザー」の資格を取ったとき、「コツを知れば誰でも上手にできるようになるんだ!」と思いました。
お部屋が整うと見た目が気持ち良いのはもちろんですが、時間が有効に使えますし、気持ちにゆとりが出て暮らしの質も上がりますよ。
「完璧を目指さない」梶ヶ谷さん流・お部屋作りのルール
− 心強いお言葉、ありがとうございます。早速ですが、梶ヶ谷さんのお部屋作りには、どんなルールがありますか?
■ルールその1「美しいよりも維持できる方を選ぶ」
一般的には隠して収納したい粘着クリーナーとハンディーモップが、まさかのテレビ横に。気になったらすぐに掃除できるよう手に取りやすい場所に置いているそう。
梶ヶ谷さん:これは最大のマイルールです。お部屋を整えると言うと、つい見た目の美しさを目指してしまいがちなのですが、美しい収納って面倒くさいんですね。美しい収納は物を隠して作り出すことが多く、「引く」「開ける」という動作が伴います。物を取るまでに動作が多いと面倒になって、やらなくなる。性格にもよりますが私はズボラなので、よく使うものは「隠さない」「すぐ取れる」ようにしています。
梶ヶ谷さん:特に、子どもがいるとすぐに散らかってしまいますよね。だから子どもの動きをよく観察して、「どこで何をするか」を把握したうえで収納を作るようにしています。なので、うちの収納は日々変わっていますね。「ここで絵を描くんだな」と思ったらその近くに絵の具セットを用意したり、「最近あそこでおもちゃを出すな」と思ったら、すぐ近くにおもちゃの収納を作ったりと、使う人の便利さを考えてフレキシブルに対応すると、整った部屋を維持するのがラクになります。1人で頑張るのは大変なので、私が何も言わなくても家族が自然と「出したら、しまう」という動きをしてくれるような"お片付けの動作"を作るように心掛けています。
■ルールその2「身の回りに置くものは大好きなものだけに限定」
梶ヶ谷さん:先ほど、ラクをするために「隠さない」「すぐ取れる」ようにするとお話しましたが、なんでも置いていたら結局は物で溢れてしまいますよね。なので、買い物の段階から適当に選ばないこと。それは「お部屋が心地よくなるもの?」「本当に必要?」と考えます。そうやって大好きなものだけを置いていたら、自然と大切に扱いますよね。これは家族みんなが持っている共通認識なので、今では娘に「おかあさん、それ本当にいるの?」と私が逆に怒られるくらいです(笑)。
便利!見た目も整い使いやすい収納テクニック
梶ヶ谷家には小さな工夫がたくさん。すぐに真似できる収納テクニックをご紹介します。
■家族の暮らしやすさに合わせて収納を作る
こちらは「充電ステーション」と呼ばれる、充電スペース。
「配線がゴチャゴチャするのが嫌だったので、棚の一角を充電スペースにしました。コンセントが近くにあるので、必然的にみんながここで充電するようになりました」と梶ヶ谷さん。
■収納は物の「居場所」を決めれば維持できる。
つい色々と詰め込んでしまい、スッキリ見えないことの多い棚も梶ヶ谷さんの手にかかればご覧の通り。
「収納スペースが大きい棚は何でも入れてしまいがちですが、スペースを区切って考えると空間づくりが考えやすくなります。区切ったスペースごとに「ここは写真」「ここは文房具」というように物の居場所を決めてあげるイメージです」。
■固定概念を捨てる!使いやすい場所なら物はどこに置いてもOK
梶ヶ谷家のリビングには生活感の出るゴミ箱やリモコン、ティッシュケースなどが目に付く場所に置いてありません。そのため、すっきりと洗練された印象に。でも、ないと不便そう...と思って聞いてみると、なんと!それらの生活用品はソファの下にまとめて収納されているのだとか。
「ゴミ箱は箱型のものを立てて使わなければいけないわけでもないし、リモコンやティッシュが必ずテーブルの上にないといけないわけではありませんよね。どうしたら便利で見た目も整うか?を考えて、固定概念を捨て、家族の行動に合わせて思い切ってソファの下に入れてみました」。
さらに、家族がより使いやすいような工夫もなされています。取っ手がわりにフックをつけることで、出し入れがスムーズになったと家族からも喜ばれたそう。
普段の行動から使いやすいように配置していくアイデアは、ぜひ真似したいですね!
簡単!お部屋の雰囲気を変えるテクニック
随所に頑張らずとも心地よさをキープできる工夫が詰まった梶ヶ谷家ですが、季節や気分に合わせて、ちょっとした部分をアレンジすることでお部屋の雰囲気を変えることもあるのだそう。
今回は、「家族みんな、ここで過ごす時間が大好き!」というリビングとダイニングをお借りして、簡単に雰囲気を変えるテクニックを教えていただきました。
■面積の大きな壁は「キャンバス」として活用
「お部屋のイメチェンというと、大掛かりなことをしないといけない気になりがちですが、小さなことでも印象を変えることが可能です。
壁に子どもの絵を飾ったり、誕生日のイベントでは飾り付けを楽しんでいます。私にとって、壁はキャンバスなんです。自由に雰囲気を変えられるように、飾るときはすぐに取れるテープやシートを使っています。とくに写真は手軽に雰囲気を変えられるうえ、家族との思い出や子どもの成長をすぐに見られるので、私のなかではなくてはならない存在です」。
【梶ヶ谷さん流・写真を素敵に飾るポイント】
・ 左右対称やトライアングルを意識して置くなど、規則性をもって配置すると整って見える。
※トライアングル...背の低い写真、高い写真、低い写真の順で、三角形を作るように写真を配置する。
・ ランダムに配置すると、こなれ感アップ(壁のように広いところでは、正方形をイメージしてその枠の中に写真を置くように意識すると組み立てやすいです)。
・ 赤、青、赤、青...というように、同色系の色使いの写真を交互に並べると見た目が引き締まり、統一感が出る。
普段は「真っ白のままにしている」という梶ヶ谷家の"キャンバス"。貼りたいもの、飾りたいものができたときに家族みんなで自由に活用しているそう。真っ白なキャンバスは、子どもたちの写真撮影時の背景として活躍することも多いのだとか。
■敷くだけでOK!ランチョンマットで季節感を演出
「家族の居場所の中心的存在であるダイニングテーブルは、ランチョンマットを敷くだけでも、がらりと雰囲気を変えることができます。気分や季節によって手軽に模様替え気分を味わうことができるのでとても便利です。うちのテーブルは丸いので、正方形のランチョンマットを選んで円に模様を描くイメージで敷いています。ランチョンマットの他にも、テーブルランナーを敷くのもおすすめです」。
ランチョンマットを敷くだけでテーブルの雰囲気ががらりと変化。季節やイベントに合わせて雰囲気を変えられるよう、ランチョンマットの色やデザインを使い分けているのだそう。布ではなく撥水性のあるシートタイプを選ぶことで汚れもサッと拭き取れて便利です。
暮らしに合った、「気持ちの良い」お部屋作りを目指そう
最後に、心地よいお部屋作りのポイントとして、「住む人に寄り添うこと」を挙げてくださった梶ヶ谷さん。
「雑誌やSNSに出てくるような完璧に整理された部屋を目指す必要はありません。住む人が好きなことができる、家族みんなの"ちょうどいい"を探り、解決することが、何よりも心地よいお部屋作りに繋がります。1日1回、寝る前にリセットできればOK!くらいのゆるい気持ちで整理収納を心がけて、居心地の良いお部屋作りを楽しんでみてください」。
梶ヶ谷さん、素敵なお話をありがとうございました!
プロフィール
梶ヶ谷陽子
Bloom Your Smile 代表
2人目出産を機に16年勤めた会社を退職し2013年10月より整理収納アドバイザーとしての活動を本格的に行う。
講演、講座、商品開発、執筆、テレビ出演、無印良品スタッフへの企業研修講師、商品プロデュースなど活動は多岐にわたる。
夫・娘・息子の4人家族
write by 大西マリコ
Photo by 上野裕二