流行語を経て、今や自然に使う人も増えた、「エモい」という言葉。
写真の世界においても、感想やイメージを表すときに使うという人も多いのではないでしょうか。
今回は、なんとなくイメージできるものの、はっきりとは分からない「エモい」の真の意味に迫るべく、SNSを中心に注目を集めている注目のクリエイター・yansuKIMさんにお話を伺いました!
「エモい」の意味から、「エモい写真」の撮り方のコツまでたっぷり教えていただきました!




悲しくて、寂しくて、切なくて、美しい。
複雑な感情から生まれた写真にこそ、エモさが宿る。

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− Instagram(以下、インスタ)やTwitterなど、SNSに投稿している写真が「エモーショナルな雰囲気ですてき(=エモい)」と話題のヤンスさん。ご自身はどんな感覚で写真を撮られているのでしょうか?

ヤンスさん:「エモい写真を撮るぞ!」と思って撮っているわけではないんですよ。

ただ、みなさんが僕の写真を「エモい」と思ってくださっているのだとしたら、被写体への感じ方が理由のひとつかもしれません。

僕の中では「きれい」という感覚と「悲しい」という感覚が一緒なんです。
例えば今回プリントしていただいた写真も「なくなっちゃいそうだな」みたいな、寂しいような悲しいような気持ちが湧き上がってきて、「もう二度と見られないかもしれない」という思いでシャッターを切ったんです。

撮影するときの気持ちは、結構ぐちゃぐちゃしています。だって、普通は悲しい瞬間ってあまり写真を撮ろうと思わないじゃないですか(笑)。笑いながら泣いているみたいな、そういう感じに近いかもしれません。


1906_6_1.jpgWALL DECOR/ギャラリー A4サイズ相当

被写体はヤンスさんの知人とご友人。左は、夕日が沈む直前の男性の横顔が美しいと思いつつもなんだかもの悲しく、右は悲しみから涙を流した女性の横顔が悲しいはずなのにとてもきれいで...。
いずれも「この顔はもう二度と見られないんじゃないか」という思いから瞬発的にシャッターを切ったそう。




見るものに「物語」を想像させる写真。
写真に映し出されるのは、撮り手の感情。


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-- 「悲しい=きれい」一見相反する複雑な感情が、「エモい」を表すヒントになっていそうですね。ヤンスさんの思う「エモい」の正体は、ズバリどんなものですか?

ヤンスさん:「エモい」の語源は、おそらく感情を表す「エモーショナル」から来ているのだとは思うのですが、「エモい」にも細かいジャンルがあって、人によって何がエモーショナルか違うと思うんです。それを踏まえた上で僕が思う「エモい」は、悲しいとか切ないとか、「儚さ」を感じる瞬間でしょうか。ただきれいな景色の写真とか、ただおいしそうなごはんの写真とかはあまり撮りません。感情移入をしないと撮れないので、初めて行く場所でも自分で勝手にストーリーを作るんですよ。「昔、恋人と来ました」みたいに(笑)。


-- 写真を撮る時、感情を揺さぶるような「エモーショナルな背景」を用意するんですね!だからヤンスさんの写真を見ると、思わず色々な物語を想像させる「ストーリー」を感じられるのかもしれません。ただ撮影するのではなくストーリーを用意した上で撮ると、写真は変わりますか?

ヤンスさん:ただ撮るのと、「あの時、こんなことがあったよな」というストーリーがある前提で撮るのとでは写真は全く変わってきます。例えば、恋人と景色が綺麗な場所に行くときって、夕方が多い気がするんですよね。そうすると、「ここで撮りたいけど、午前中じゃないな」とか考えるじゃないですか。そういう設定をしていくと同じ場所、同じ空間で同じ人を撮っても、少しずつ写真が変わってくると思うんですよ。カメラを構える人の、そのときの気持ちや感じ方が違う。

つまり10人いたら10人の「エモい写真」があるはずなんです。

1906_6_7.jpgWALL DECOR/カジュアル  A4サイズ相当


「ただ撮った写真とストーリーを作って撮った写真は、違う表情を見せる」ヤンスさんの言葉を体現するかのように、同じ場所で撮影したはずなのに雰囲気が異なる2枚の写真。
就職を機に上京したヤンスさんが地元・奈良に帰省したときに撮影した一枚で、右は早朝「東京に戻ったら、また当分この景色を見られなくなるんだな」と思ってシャッターを切ったもの。
左は右の写真を撮影した1時間後、野球の練習をしていた子どもたちを見て「自分にもこういう時代があったなぁ」と、なんだか少し泣きそうになった瞬間を切り取ったもの。
同じ場所でほぼ同じ時間帯に撮影された2枚の写真ですが、シャッターを切る時の感情の違いが写真にも現れています。



磨くべきは、感性と想像力。
グッとくる写真撮影のコツは、テクニックにあらず。

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-- 「エモい写真」を撮るコツはカメラのテクニックを磨くというより、感性や想像力を鍛えることでしょうか?

ヤンスさん:そうですね。写真のコツというとカメラやレンズの選び方とか、光や色の捉え方とかに傾きがちなんですが、テクニックは1枚の写真を撮ることが100%だとしたら、そのうちの最後の10%程度でしかない。あとの90%は、「なぜそれを撮りたいのか?」「どういう写真が撮りたいのか?」といった「思考」の部分でできていると思うんです。だからカメラとかレンズの前に、「ハート」の部分をもう一度自分で考えた方が、写真の説得力やストーリー性が増すと思います。


-- ヤンスさんが感性や想像力を磨くために日頃からされていることはありますか?
おすすめの方法がありましたら教えてください。


絵や映画、アートに触れる

ヤンスさん:絵や映画をよく見ています。絵はフェルメールを始め、印象派の作品が好きで、映画はドラマや日常的なストーリーのものをよく観ます。とくに絵を見ることはおすすめです。
写真と絵って、完成までの時間軸が全然違うじゃないですか。写真は今「いいな」と思うこの瞬間をそのまま切り取ることができるけど、絵は「いいな」と思って描き始めてから完成まで1週間かかることとかザラにある。完成までの過程で作り手の考えや想いがどんどん蓄積されていって、「いいな」と思った一瞬を構築するまでの時間がすごく長いですよね。
これは写真ではなかなかできないことです。だから絵を見ることで「一瞬という瞬間に、どれだけの厚みを持たせることができるのか」を考える力を養うことができると思うんです。

何事も大げさにとらえてみる

ヤンスさん:「エモい」の感じ方や定義が人によって違うからこそ、言ってみれば「エモい写真」は誰でも撮ることができます。僕は見る人にストーリーを感じてもらえる写真を撮るために、「日常」に慣れすぎないことに気を付けています。当たり前のことを当たり前に感じないよう、定期的に街を歩いてスナップしたり人間観察をしたり、「日常」は当たり前ではない特別なものなんだということを意識するようにしています。


写真を飾ることは、人生を豊かにすること。
床置き、立て掛け...プリント写真は自由に楽しむ!

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普段、さまざまな雰囲気の写真を撮影されるヤンスさん。今回、ご自身の写真から「エモい」にぴったりなものをいくつかを選んでいただき、WALL DECORにしました。

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-- WALL DECORにされた作品をご覧になって、いかがですか?

ヤンスさん:こうしてきちんとプリントするのは、実は人生で4回目なんです。最近やっと始めたところなんですが、写真を撮るのとプリントするのって全く別の分野だからすごく難しいんですよね。でも「WALL DECOR」はちゃんと枠も決まっていて、写真をはめてフレームを決められるので、「これは便利や!」と思いました。なんでこんなに詳しいかというと、実は今年の春に「御苗場」という大規模な写真展のなかの富士フイルムさんブースに出展させていただいたのですが、そのプリントを「WALL DECOR」にしたんです。それが、人生2回目のプリントでした(笑)。

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-- SNSで話題の、5年間毎日撮影し続けている朝ごはんの写真を出展されたのですよね。プライベートでは写真を飾る習慣はありますか?

ヤンスさん:それこそ朝ごはんの写真をたくさん飾っていますね。ラフに壁に立て掛けたり、床にボーンと置いたりしていますよ。日本では「写真を飾る」というと額装したり壁に飾ったりしなきゃいけないと思う人がまだまだ多い気がするんですけど、海外では写真を飾る文化が身近にあって、敷居も高くない。「きちんと飾らなきゃ」と構えず、床置きや安価な額でも良いから、とにかく気分に合わせて自由に写真を楽しむ文化が日本でも根付くといいなと思っています。

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ヤンスさんがご自宅に飾られている朝ごはんのお写真。何気ない日常を切り取った写真が、毎日の生活に寄り添い、ふと目に入った時に心地よい安心感を与えてくれる。

-- 写真を壁に飾るのではなく、立て掛けたり床置きにしたりすると移動もできますし、「写真を飾る」ことへの敷居がぐっと下がりますね。
ヤンスさんの生活において、「写真を飾る」ということはどういう意味を持っていますか?

ヤンスさん:僕自身、気分によって写真を置く場所をよく変えます。「この場所じゃないとダメ」みたいなことを意識し過ぎないことも、写真を飾るというハードルを下げることに繋がりますよね。
家に写真を飾っていると、ふとした瞬間に目に入るじゃないですか。だからお気に入りの写真を飾ると生活が少し豊かになるというか、忙しい毎日の中に数分だけ、好きな写真を眺める時間があってもいいと思うんです。



ヤンスさん、素敵なお話をありがとうございました!

Photo by 土田凌

Writing by 大西マリコ

WALL DECOR(ウォールデコ)
yansuKIMさんのエモーショナルな写真をWALL DECOR(ウォールデコ)に。サイズや質感のバリエーションが豊富なので、写真の雰囲気に合わせて加工をお選び頂けます。こだわりのプリント技術で色が再現されるので、写真の持つ繊細な雰囲気も細部まで映し出すことができます。
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