飾らない日常風景を切り取った写真が人気のインスタグラマー、makiさん。Instagramのフィードに流れるご自宅の様子からはmakiさんの「好き」が溢れていて、まるで映画のワンシーンのように物語性を感じさせてくれます。

お部屋にはプリントした写真が随所に散りばめられているのが印象的。彼女にとって写真をプリントし、飾ることにはどんな意味があるのでしょうか。

カメラを持つようになったきっかけや写真との関わり方を聞いた前編に続き、後編では、makiさんの写真の根っこにある世界観と、創作活動の源について紐解きます。

「好き」を集めてイメージを描く。その過程も大切にしたいから

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---- makiさんのInstagramには、暮らしやお家についてのコメント・質問が多いですよね。写真を撮るときは「作り込みすぎないようにしている」とのことですが、独特の住空間がどうやってできているのか気になります。

makiさん:"日常だけど非日常"のような世界観に惹かれます。その意味で、自分の部屋だけど「ここだけ」「今だけ」はちょっと違う世界にいる、ように感じる空間づくりを無意識にしているのかもしれません。

---- 空間づくりの参考にしているものはありますか?

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makiさん:もともと映画が好きで、好きな作品から影響を受けている部分もあるかも、と思います。世界観が好きな作品は何度も繰り返し観ていたり、雨の日はプロジェクターで映画をBGMのように流していたりするので、無意識に脳内に刷り込まれているような...(笑)。

---- 好きな映画作品を一つ挙げるとしたら?

makiさん:映画のなかでも食事のシーンが好きで。お気に入りの朝食シーンがいくつかあります。とくに『SOMEWHERE』(ソフィア・コッポラ監督作)でエル・ファニングがお父さんのために朝食でポーチドエッグを作るんですが、そのシチュエーションがかわいくて、何度見てもうっとりしちゃいます。

---- そういったお気に入りの映画のシーンが、空間づくりの土台になっているんですね。

makiさん:そうかもしれません。ただ、そっくりそのままを取り入れるんじゃなくて、いろんなところから好きな要素を一つずつ集めていく感覚に近いです。

例えば、キッチンはコの字型で窓はここ、丸いダイニングテーブルがあって、こういう人が座って、こんな音楽がかかっていて...と自分の「好き」をあちこちから集めてきて、それを積み重ねた結果、今の自分の世界観があるというように。

私は自分の「好き」を探したり、イメージを具体化するのに時間をかけたいタイプなんです。インプットをもっと効率よくすることは可能だと思うんですけど、過程も大事にしたいんですよね。素敵だなって思う人はいつも、その人の生活が詰まっているように思うから。

---- それらの空間づくりは、やはり「毎日を楽しく暮らす」ためにやっている?

makiさん:そうなんです。自分のご機嫌をとるために、お気に入りのお皿やカトラリーを準備して丁寧に盛り付けたい。その過程も楽しみたいですし、日々の記録として撮影するのも楽しいです。そんな毎日が私にとってはリフレッシュにもなっているんです。

写真を飾るのは、大切な記憶といつも繋がっていたいから

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---- 学生時代から写真屋さんに通っていたそうですが、現在もプリントはよくしますか?

makiさん:今はフィルムカメラではなく、デジタル一眼レフとスマホで撮っていますが、変わらずプリントはたくさんしますね。やっぱり写真はデータで残すだけじゃなく、形として持っておきたい。プリントした写真は部屋に飾ったり、日記に添えて貼ったりもします。

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---- ご自宅にはあちこちに写真が飾られていますね。

makiさん:飾っている写真は例えば、数年前に証明写真機で撮った夫との2ショットや、コロナ自粛期間中にマスクをしながら散歩したときのもの、それから出産予定日に病院に向かっている最中の写真とか...。

写真館で撮るようなカッチリした記念写真ではないのですが、その一枚一枚が大事な記憶と結びついていて。どれを見ても「あ、このときの気持ち忘れたくないな」と思う写真ばかりです。

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---- 写真と一緒にディスプレイされているメモやフライヤーもやはり大切な思い出のもの?

makiさん:はい。大切な日の日めくりカレンダーや、美味しくできたときのカルボナーラのレシピ、友人と楽しくおしゃべりしながら食べたドーナツのフライヤーなど。どれも何気ないちょっとしたものなんですけど、とっておきたくなるんですよね。

例えば映画のチケットは、娘が生まれる前に、「当分行けなくなるだろうな...」と思って、夫婦でレイトショーに行ったなあ...と、チケットを見るだけでその時の光景や感情がありありと思い出せます(笑)。

---- 忘れたくない瞬間を飾ることで、いつでもそのときの記憶に繋がることができる。写真をデータで残すことが多い時代において、makiさんの写真との付き合い方は原点回帰のようにも思えます。

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makiさん:結婚式のアルバムや写真展の写真も、部屋に飾っています。子どもが生まれる前の夫婦2人の生活を思い出したり、あの時に写真展をやって本当に良かったなと感慨深くなったり。

今など特にそうですが、家にこもりっきりで息が詰まるような日は、そんな過去の記憶に救われることも多いです。

日々の子どもの変化を見逃さないように

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---- お子さんが生まれると、写真を撮る機会も増えますよね。

makiさん:はい。娘は5ヶ月になりましたが、成長が驚くほど早くて。昨日できなかったことが、今日できていたりもするくらい。そんな変化を逃すまいとシャッターをたくさん切ってしまいます。月末にその月の写真をセレクトしてプリントするのがマイルールですが、もう既に子どもの写真だけで200枚を超えてしまいました(苦笑)。

---- なんと...!子育て中はたくさん撮るわりに写真整理が後回しになってしまう、なんて声もよく聞きますが。

makiさん:そうですね。私もこの先ずっと続けられるかはわかりませんが、今は撮ることも、写真を選ぶことも、楽しくやっています。

これまで9年ほどアパレルで働いていて土日祝日関係なく働いていたので、こんなに長いお休みをいただいたことがなくて。ステイホームだからこそできたゆとりのある時間の中で、今はなんでもできそうな気がしてます(笑)。「何かを放出したいエネルギーが溜まっているんじゃない?」と言われるくらい。

写真を物に落とし込むことで世界がさらに広がる

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---- そんなエネルギッシュなmakiさんの今後が楽しみですが、これから写真で挑戦したいことはありますか?

makiさん:撮った写真を「物」に落とし込むことが、今は楽しいです。最近だと、ふと思い立って写真をポストカードにしてみたり、iPhoneケースを作ってみたりしました。特に販売などは考えずに作ったのですが、Instagramで見てくださった方が、アイテムを欲しいといってくださったり、嬉しい反応をいただいています。

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写真をポストカードやiPhoneケースにして楽しんでいるmakiさん

---- 写真に物としての存在感が加わると、また新たな写真の力が生まれそうですね。

makiさん:私の活動テーマである「home sweet home」を軸に、写真をプリントだけじゃなく、暮らしの物に落とし込むことでどんな化学変化が起きるのか?というのをこれから実験的にやっていけたら。

もともと暮らしの写真は自分だけのものでしたが、アウトプットすることでこんなにも多くの人や新しい世界と繋がれるということを知りました。それは私にとってかけがえのない宝物。これからも、写真を通じてそんな広がりを楽しんでいきたいです。

makiさん(@mk11929

Instagramで、家族との愛すべき日常風景を発信。暮らしを豊かにするアイデアや、おすすめアイテムの紹介も。2020年9月には展示会も開催。

makiさんが審査員を務めるInstagramフォトコンテスト「#お部屋に飾りたい1枚」を6月30日(水)まで開催中です!ぜひご参加ください。

フォトコンテストの詳しい内容についてはこちらの記事をご確認ください。

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Photo by 桑原雷太

Writing by 池尾優

ハーフサイズプリント
手のひらにおさまる小さなサイズの写真プリント。1枚40円から注文できるから、気軽に日々の思い出を形に残せます。makiさんのようにお気に入りの写真を壁に貼ったり、手紙に入れて贈ったり、スマホの裏カバーに忍び込ませたり。かわいいサイズ感なので、持ち歩きも便利。スマホにしまい込んでいる大切な写真を、ぜひプリントしてみてください。
WALL DECOR(ウォールデコ)カジュアル
お気に入りの写真をパネル加工できるサービス。お部屋の広さやシーンに合わせて写真の大きさやパネルのタイプを選べます。お気に入りの写真を選べば、額装されて届くのであとは飾るだけ。簡単にお部屋の印象を変えることができますよ。makiさんはお部屋になじみやすいカジュアルタイプをお選びいただきました。
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