女優・創作あーちすと・のんさんに聞く、写真と表現のお話。-表現の楽しみ編 -

前編の「写真の楽しみ編」では写真を撮ることや表現のモットーについてお話してくれたのんさん。後編では初個展のこと、そしてこれから挑戦したいことについて想いを伺いました。

女子の凶暴さを明るく表現！テーマは「大人もはっちゃけられる展覧会」

−4月19日からGALLERY X BY PARCOにて「'のん'ひとり展 -女の子は牙をむく-」が始まりますね。ぜひ、見どころを教えてください。

のんさん：「女の子は牙をむく」というコンセプトで描き下ろした絵を中心に、昨年発足した音楽レーベル「KAIWA（RE）CORD」のロゴスケッチやレーベルのお披露目で作ったカセットテープ「オヒロメパック」を飾ったりして、いろんなアート作品を展示します。記念写真を撮影できる通称・映えるんじゃないかスポットもあって、内容モリモリです！

−わー！今ののんさんが詰まった展覧会になりそうですね。個人的に「女の子は牙をむく」というタイトルが心にぎゅって響きました。

のんさん：ありがとうございます。私、ちょっと女の子びいきな所があるんです。女の子のパワフルでエネルギッシュなところがすごくかわいいと思っているので、女の子に潜む凶暴さや怒りもかわいく変換して、明るいパワーで放出したくて。あとは「男子に勝ちたい」みたいなささやかな反抗心と、最初の個展ということで、あえてちょっと生意気な感じにしたいと思っていたので「女の子は牙をむく」というタイトルにしました。

−そもそもなぜ個展を開こうと思ったのでしょう？

のんさん：お話をいただいたのがきっかけですが、やっぱり絵を描くのが好きだし、自分だけの作品を観てもらえる場があるとうれしいなと思っていました。あと...。

−あと...？

のんさん：...もう「やりたいことを、やりたいだけ、やろう！」と決めているので、自由に活動していく姿を楽しんでもらいたくて。私がいろいろ挑戦することでみなさんに「私も何かやりたい」と刺激を与えられたら...と思っています。

−きっとのんさんの展覧会を観て刺激を受ける方、たくさんいると思います。展示方法にもこだわっているそうですね！

のんさん：自分の作品を、身体表現に落とし込んだ写真作品を作りました。私はたくさんの人に女優として知っていただいているので、自分の身体を使わない手はないということで。もともとの「作品」と「写真作品」両方を、同時に楽しむことができます。あと、今回の展覧会は「大きくする」がひとつのテーマになっていて。メイン展示で巨大なハムスターを作りました。

−...巨大なハムスター？

のんさん：私、子どもの感性がすごく好きで、自由な発想でぽんぽん面白いことが出てくる子どもに嫉妬しちゃうんです。大人にとってハムスターは手の平より小さな動物ですよね。でも子どもから見たハムスターは、大人になった自分が手に乗せるより大きく感じるはず。だからモノを巨大化して、子供目線よりも大きくすれば大人の感性でも自由にはっちゃけられるかな...と思って制作しています。

−なるほど！大人になるとどうしても子どもの頃の気持ちを忘れ、目に見えないしがらみにとらわれたりもするので...。のんさんの展覧会に行くと、そういうものがほぐれるのかもと思いました。

のんさん：ぜひ、ほぐしてください！

全部、のん。ジャンルは気にせず'のん'を丸ごと楽しんでほしい

−今後、のんさんが挑戦したいことがあれば教えてもらえますか？

のんさん：挑戦したいこと...。うーん...。

絵を書いたり楽器を演奏したり役を演じたり、いろんな畑...というか異なるジャンルで活動しているんですけど、やっぱり「絵は絵」「音楽は音楽」みたいに別々に見る方が多いんです。でも全部ひとりの人間がやっていることなので「のんが何かやってるな〜」っておもしろがってもらえたら良いなと思っています。

−決められたジャンルで見るのではなく'のん'の活動そのものを楽しんでほしいということでしょうか？

のんさん：そうですね。演技も絵も音楽も自分の解釈を大切にしていて...。たとえば女優として役を演じるときは「'私なら'この人をどう考えるか」という視点をすごく大事にしています。それが絵や音楽であっても同じで。いつも自分らしい解釈で表現する、ということを心がけています。だからどれかひとつの分野ではなく、'のん'という人間が発すること全体を通して見てもらえるとまとまる、と思っていて。

−どれかひとつのパーツではなく、全部でのんになるというイメージですか？

のんさん：そうですね。

−のんさんはこれまでも写真家やミュージシャンなどいろいろなジャンルのアーティストたちとコラボレーションをしていますよね。たとえば今年1月に発売された雑誌『SWITCH』で7人の写真家がのんさんを撮った誌面を観て、のんさんの魅力はもちろん、いろいろな写真家さんの魅力を知れたと思ったんです。のんさんを通じて私たちの世界も広がっていくこと、それも全部のんさんの表現になるのかな...と思いました。

のんさん：そういう風に楽しんでいただけるのは、すごくうれしいです。私が好きな人達と仕事をしてそれを見てくれた人がまた好きになってくれて。幸せでしかないですね。

あとは自分に引きつけて言うと、私の絵を気に入ってくださった方がのんの音楽にも興味を持つ、みたいなこともあると嬉しいです。世の中にはたくさん面白いものがあって、のんを楽しんでもらうことでそれを知ってもらえるっていうのは本当に嬉しいです。私も、もっともっと世界を広げていきたいと思っています。これからも'のん'そのものを自由な気持ちで楽しんでもらいたいです。

のんさん、素敵なお話ありがとうございました！