「冬の写真」と聞いて思い浮かべるのは、雪景色の写真ではないでしょうか。非日常を感じてつい撮りたくなる雪の日の写真ですが、実際に撮ってみるとなんだか上手に撮れないと感じたことがある方もいるのでは?今回はそんな、意外と難しい「雪の写真」について新しい視点から考えてみました。
「雪の写真」の難しさ
あたり一面が真っ白な白銀の世界、夜中に降った雪が少しだけ残った近所の道路など、雪の写真にも様々なバリエーションがあります。撮影の機材はスマホや一眼レフなど人それぞれですが、どんな雪の写真にも共通して言えるのは構図の難しさ。雪の色である白色は写真に撮るとインパクトが強いので景色の中で白色が強く出すぎてしまったり、余白の取り方が難しくなったりと上手に撮るには少しテクニックが必要になってしまいます。そこで試してほしいのが、トリミングをすることで"写真の眺め方"を変えること。「上手に撮るために、カメラ技術を向上させる!」と意気込むのも良いですが、思うように撮れなかったなと思っている写真もトリミングによって「結構、上手に撮れているかも」とお気に入りの1枚になることもあるんです。
"縦"から"横"を作る視点
まずは「トリミングによって構図を変える」アイデア。空間を感じさせる縦位置の写真から、横位置の写真を作るようにトリミングしてみましょう。たとえばこの木を中心に空と雪がうっすらと積もった地面を写した写真なら、思い切って上下の空間を狭めて中央の木をメインにトリミング。
空と地面の比率が少なくなった分、視点が一箇所に集まり、まとまりを感じる写真になったと思いませんか?
このワラの上に積もった雪を俯瞰で撮影した写真も、同じように横位置でトリミング。
細く抜き出すと、不思議な模様のような雰囲気に。スマホで風景を撮る時は縦位置になりがちなので、「縦の構図から横の構図を抜き出す」というアイデアを覚えておくと◎。1枚の写真からたくさんの風景を見つけることができるのも楽しいですよね。
必ずある"気になる部分"に注目
続いては、「気になる一部を抜き出す」アイデア。撮った時は意識していなくても、後から写真を見返していて「この部分、面白かったな」と気がつくこと、ありませんか?そんな「ちょっと気になる」「よく見ると面白い」部分を切り取ってみてください。
この夜空と雪を下から撮った写真。雪に向かってカメラのフラッシュを焚いて撮影したこの写真で気になるポイントは、夜空に線を引いたように見える電線。
電線を模様に見立ててトリミングしてみると、一見何を撮影したのか分からないアーティスティックな1枚が出来上がりました。
雪に残った靴跡が気になって撮影したこの写真は、後から見返すと光と影の形が面白いことに気がつきました。なので、靴跡ではなく光と影に焦点を当ててトリミング。
光と影、雪の白とアスファルトの黒の見え方が素敵です。
雪山の写真が撮りたくて撮影したこの写真は、右側の写っている雪の面積の多い部分だけを抜き取ってみました。
こんな風に、撮る時は意識していなかったポイントを見つけることができるのも、写真加工の楽しみの1つ。「上手な雪の写真の撮り方が分からない」とがっかりしなくても、自分で撮った写真の中から上手に撮れているポイントや上手に見えるポイントを選んで、トリミングしてしまえばいいんです!
写真で見つけた"素敵な風景"を飾ろう
トリミングを楽しんだ後は、実際に写真をプリントしてみましょう。写真に合わせて大きさや形を選ぶと、また違う表情を見せてくれます。
白いフチをつけたものと、つけていないもの。ほんの少しの違いですが、並べてみるとはっきりとした違いを感じられますよね。全く同じ写真でも加工を変えると雰囲気がガラリと変わるので、ぜひ色々な組み合わせを試してみてください。
小さめサイズにプリントした写真は、組み合わせて1枚の大きな写真のように飾るのがおすすめです。パズルのように配置を考えるのも楽しいですし、飽きたら組み合わせを変えてみるなど長く楽しむことができます。
写真の技術を上げなくても、今ある写真の視点を変えるだけで素敵な一瞬をたくさん見つけることができました。雪の写真は難しいですが、綺麗な写真を撮ろうと必死になるよりも、楽しく撮影をして、撮れた写真から素敵なポイントや上手に撮れた場所を探してみてください。自分の写真の良い部分を見つけることで写真を撮ることをより好きになれますし、トリミングから「次に撮る時はこの構図で撮ってみよう」というアイデアも生まれてきます。
まずは"自分の写真の良いところ探し"から始めてみませんか?
Photo by Warach Pattayanan
Writing by 佐々木愛