当たり前のように続く毎日の中で、いつのまにか大きく成長していく子ども。日々表情が豊かになり、歩いたり、走ったり、できることが増えていくその愛おしい姿は、記憶だけではなくかたちあるものとして大事に取っておくことで、かけがえのない宝物になるはず。しかし、いざ写真に残そうとカメラを手に取っても、思い描いていたように撮影することができない...と、悩みを抱えている方も多いのではないでしょうか。
フリーランスのフォトグラファーとして活躍する綾さんは、息子さんの日常をありのままに切り取った写真をInstagramで投稿するなど、多くのファンを集めています。今回は綾さんに、自然体の子どもの姿を撮影するポイントや楽しみながら写真を続けるコツ、そして富士フイルムのミラーレスカメラ「X-S10」の魅力についてお話を伺いました。
自分なりの「好き」を大事に、見えるもの全部を完璧に写そうとしない
ー光と影のコントラストが美しい物撮りはもちろん、お子さんとの何気ない日常を切り取った写真が魅力的ですよね。写真撮影するうえで大切にしていることはありますか?
綾さん:写真の表現は、「ありのままの姿を忠実に伝える」「より美しく伝える」「情景の一部を切り取ることで、自分なりの視点を伝える」という3つの手法に大きく分かれると思うのですが、私が特に大事にしているのは3つ目です。子どもと向き合っていると「表情がかわいいな」「景色もきれいだから写したいな」というふうに、いろんな要素を入れたくなりますよね。でも、全部写そうとするのってすごく難しくて。子どもはすぐ動いちゃうし、完璧を求めるとどうしてもタイミングを逃してしまう。だから、なるべく1枚の写真に込めるメッセージはシンプルになるようにしています。
例えば子どものキラキラとした目の輝きを伝えたい、と思ってシャッターを切るときに、着ているお洋服も可愛いし、風景も綺麗だし...と要素を盛り込みすぎると、逆に一番伝えたい要素が一目でわかりづらくなってしまうことがあるんです。だから、あまり要素をたくさん入れようと欲張り過ぎずに、「敢えて写さない」ということも意識しています。
ーどのように「自分らしい視点」を身につけていったのでしょうか?
綾さん:カメラや写真について学ぶことももちろん大切なのですが、自分の好きな世界観やポイントを見つけていくことがより大切だと私は思っています。私の場合、実は写真よりも音楽の方が趣味としては長いんですよね。アンティークやヴィンテージを集めることも夫婦揃って大好きで。写真は結果的にそういった「好き」を表現する手段だと思っています。ほかの作品を見ていても、自分の視点でいろんな世界に触れている人、軸を持っている人の写真はすごく素敵だなと感じます。
遠くからこっそり覗く、子どもの自由な姿こそ日常
ここからは、綾さんに教えていただいた自然体なお子さんの姿を写真に残すポイントを実践的にご紹介。デジタルカメラだけではなく、スマホカメラなどでも日頃の撮影に活かせるアイデアをお伺いしました。
子どもの集中を切らさないようにこっそり撮影。隠したいものがあるときは前ボケを取り入れて。
綾さん:自然な姿を写すために、「ママが撮影している」ことに気づかれないように、物陰からこっそりと撮るんです。子どもがなにかに集中したときの真剣な様子はすごくかわいいですし、最終的にこちらに気づいて駆け寄ってくる姿まで撮れます。こっそり撮っていることを表現するために、50mmや80mmのレンズを使って、カーテンや観葉植物などで前ボケをつくるのもポイントのひとつです。
それに、前ボケって写したくないものも隠せちゃうので便利なんですよ(笑)。たとえば色がはっきりして目立つものや、明るすぎるもの、逆に暗すぎるものは、そのまま写すとノイズになってしまうんです。写真の中で子どもに視線が集まらなくなる原因になりえるので、前ボケでうまく隠すようにしています。
構図はある程度決まればOK。自然な子供の表情を捉える方に重点を。
綾さん:写真をずっとやっていると、つい「この構図がよさそうだな」「ここでこっちを向いてくれたら完璧だな」って考えちゃうんですよね。でも、それってもはや「日常」ではなくて。ありのままを写したいのに、自分の思い描いた通りにいくように子どもを誘導することになっちゃうんです。親の視点があるのは悪いことではありませんが、ある程度の構図だけ決めて、あとは子どもに自由に振る舞ってもらう方が、自然な子どもの姿を魅力的に残せると思います。
普段から物撮りをしていると、子どものままならなさにもどかしい気持ちになる瞬間もあります。でも、逆に見たことないような変な顔を見せてくれたり、雰囲気に合わないおもちゃで突然遊び始めたりして、予想できないのが面白いんですよね。
また、撮影の時間帯は晴れた日の午前中か夕方が、光がやわらかくて一番撮りやすいなと感じます。自然光のみでも撮影できる明るさがあれば、部屋の照明は極力消して撮影するようにしています。照明と自然光、2つ以上の光源があるとぶつかって影ができたり、どうしても色が不自然に見えることがあったりするので、できれば部屋の灯りは消して自然光をうまく活用するのがおすすめです。
軽量でコンパクト、手ぶれ補正が子ども撮影には必須
ー今回、綾さんにはデジタルカメラ「X-S10」をお試しいただきましたが、全体の使用感はいかがでしたか?
綾さん:とにかく軽くて驚きました!子どもと遊びながら撮影していると、おもちゃを持ったり、手を繋いだりすることも多いので、できれば片手は空いていてほしくて...。この軽さなら片手撮影も楽々だし、サイズ感もコンパクトなので、外に遊びに行くときも気軽に持ち出せます。それに、子どもは動き回るぶん手ブレ補正もすごく大事で。コンパクトなのにしっかり補正してくれるので助かりました。
親と一緒に写っている写真を残しておくと、将来息子が写真を見たときに楽しいかなと思って、鏡を使った自撮りもよくするんです。子どもを抱っこしながら撮ると、どうしても不安定な姿勢になりがちなんですが、こういうときも軽量・小型かつ手ブレ補正機能がついた「X-S10」は使いやすかったですね。
ー動きの速さでいうとピントを合わせるのも重要ですよね。そちらはいかがでしたか?
綾さん:パネル画面をタッチしたら、すぐにピントが合ってシャッターを切れるのがよかったです。子どもが親の顔を見て、笑顔になる瞬間を狙いたいときってあると思うんですけど、カメラを構えると親の顔が隠れてしまうこともあって...。でも、これは顔の前に構えることなくパネル操作できるので、"いないいないばあ"しながら撮影できます。そういった点もかなり便利でした。
ーパネル上で操作できるのは、すぐに変化するお子さんの表情を撮影するのにも役立ちそうですよね。
綾さん:そうなんです。子どもの表情って、ピントを合わせてシャッターを切る数秒の間に変わっちゃうんですよね。タッチで撮影するほうが断然速いので重宝していました。おかげで、息子のいたずらシーンもばっちり撮影できました(笑)。
無理なく写真を続けるためにも、自分のスタイルに合わせたカメラ選びを
ー「X-S10」の特徴として、これまで富士フイルムが出してきたフィルムカメラの色味を再現できる「フィルムシミュレーション」があります。こちらはいかがでしたか?
綾さん:フィルター機能が搭載されたデジタルカメラはたくさんあるけど、正直、極端すぎて使いづらいなと感じることもありました。その点、フィルムシミュレーションはすごく自然に色味が乗ってくるので、撮って出しでも全然いけちゃいますね。レタッチの時間を削れるのは、写真を楽しく続けていく理由にもなると思います。
私は子どもの写真を撮るときは、オリジナルのLightroomプリセット「Aya baby preset」を使っているのですが、「X-S10」との相性も抜群でした。実は今までカメラに機能がたくさんついていてもうまく使いこなせず、勿体ないなぁ感じることも多かったのですが、「X-S10」は自分のスタイルにも無理なくマッチしてくれるのでありがたかったです。
ー「X-S10」はどのような方に向いているカメラだと思いますか?
綾さん:小さなお子さんがいる方には特におすすめしたいです。赤ちゃんって、低月齢の内はねんねの時間が長いので、上から撮影する機会も多いんです。そうなると、重いカメラを構えるのってなかなかしんどいし、日々気軽に撮影するには現実的ではなくて...。このカメラなら片手で持てて、もう片手で遊ぶこともできますし、初心者の方も使いやすいんじゃないかな。
たとえばよく行く公園や、保育園の帰り道なんかでも、さっと取り出せてさっと撮れるのは便利ですよね。家の中で撮るにしても、重たい一眼を抱えて家中行き来するのはモチベーションが下がっちゃいます。軽さが優先事項になる人には向いているんじゃないでしょうか。
ー今後、どんなふうに写真活動を行っていきたいですか?
綾さん:今は子どもとの時間を大切にしたい気持ちが強いので、在宅でできる仕事が中心ですが、将来的にはできることをどんどん広げていきたいと考えています。子どもの日常を切り取る写真はもちろん、バースデーフォトなどのスタイリング写真でもお声がけいただく機会があるので、家族みんなで写真を楽しめる機会をつくっていきたいですね。
自分自身のライフスタイルに合うカメラを選ぶことや、ちょっとしたアイディアやコツを取り入れるだけで、子ども撮影のクオリティもぐっと上がります。撮影した写真はデータで楽しむのはもちろん、簡単にフォトブックが作成できる「Year Album」でかたちにすると子どもも一緒に楽しめるのでおすすめです。みなさんも、毎日のささやかな喜びを写真に閉じ込めるように撮影を楽しんでみてくださいね。
綾さん (@ayaaya_0806)
大阪在住のフォトグラファー。著書「Instagramあたらしい商品写真のレシピ」(共著/玄光社)。光と影、アンティークを用いたスタイリングを得意とし、商品撮影や記事執筆、写真教室の開催、Lightroomプリセット販売等、幅広く活動中。
Photo by 綾さん(X-S10)& 桑原雷太
Writing by 石澤萌