前回から始まりました、「写真と、ちょっといい暮らし。」インタビューリレー。第1回目のゲスト、旅と写真と文章をこよなく愛する伊佐友美さんがバトンを渡したのは、透明感あふれる美しい写真がSNSで人気の宵月絃(@__yoii_to)さんです。
伊佐さんが「どんな方が、どんなことを思いながら撮影されているのだろう?と気になっていました」と言うように、Twitterのフォロワー数は2万人超え*ながらも、その姿は謎に包まれている宵月さん。「写真とSNSを通して世界が広がった」という宵月さんに、お話を伺いました。
考え方も人生も大きく変化。SNSから始まった、写真のある暮らし。
−今回バトンを渡された伊佐さんとは、Twitterでフォローし合っている仲だそうですね。「お話を聞いてみたい」と言われて、いかがですか?
宵月さん:お話をいただいて、とにかくびっくりしました。直接お話したことはないのですが、普段からTwitterで写真や文章を拝見していて、実は伊佐さんが主宰されている「旅と写真と文章と」のイベントにも参加したことがあるんです。その時は話しかける勇気がなかったので、まさか伊佐さんが私に興味を持ってくださっていたなんて...!と、今も驚いています。
−相思相愛だったというわけですね!伊佐さんも「名前に"月"が入っていてキレイ」とお話されていたのですが、お名前がとても素敵ですよね。名前の由来や趣味など、まずは宵月さんについて教えてもらっても良いでしょうか。
宵月さん:ありがとうとございます。「月」は自分に縁のあるモチーフで、私のなかで特別な存在なんです。心に余裕がなくなってくると空を見上げることも忘れがちですが、月の明かりがあると、どんな日でも「今日は明るいな、どうしてだろう」と、自然と顔を上げることができて、肺の中に新鮮な空気が入ってくる感じがします。それで「あぁ私、空も見上げられないほど余裕がなかったな」と感じるというか。だから月は、自分の心のバランスを見る、一種の「計り」のような役割をしている気がします。それに、どんな人でもどんな場所にいても必ず見えるものなので、見ていて落ち着くというのもありますね。
写真は趣味で撮っていて、本業は別のことをしています。写真以外の趣味は、絵と歌です。現在の写真のアカウントを始めて3年くらい経っているのですが、その前は絵や歌を中心にSNSで人と繋がっていました。その頃から写真も撮っていたのですが、Twitterで写真を撮っている方々のツイートがよく回ってくるようになって、「自分も写真を投稿してみたいな」と思うようになり、本格的にカメラを始めたのがきっかけです。その頃は周りで写真を撮っている友達もいなかったので、Twitterをしていなかったら今みたいに写真を撮っていなかったかもしれませんね。
多くの人を惹きつける理由は、写真に込められた、「好き」の気持ち。
「初めて撮った写真は紫陽花でした」と言うほど、宵月さんが大好きだという紫陽花の花。自宅でも育てており、毎年花が咲くのを楽しみに手入れを行なっているそう。写真は紫陽花が多く咲く公園にて。
「花の影が葉っぱに映っているのがとても可愛くて撮りました。太陽の光で花がキラキラしていて幸せな気持ちになったのを覚えています」
−写真のモチーフは月をはじめ、花や空など自然の姿を切り取られているのが特徴的ですが、どんな想いが込められているのでしょうか?
宵月さん:あまり意識してなかったのですが、月や花といった自然のものを見たり触れたりすることで気持ちが落ち着くからかもしれません。性格的に敏感なところがあり、いろいろなことから刺激を受けやすいので、自然と触れ合う時間がとても大事なんです。お家でも花や植物を育てていて、触れて、撫でて話しかけたりするんですけど「あぁ、こういうところが好きなんだな」と気持ちを確認してシャッターを切ることが多いです。
お気に入り写真をWALL DECOR(ウォールデコ)に。思い出とともに飾る、あの日の写真。
−今回は、宵月さんの代名詞的存在ともいえる、花や空の写真を使ってWALL DECOR(ウォールデコ)にしていただきました。ご覧になって感想はいかがですか?
宵月さん:壁に飾ってみたんですけど、写真があるだけでお部屋がとても華やかになりますね。自分の部屋で写真展を開いているような感じも、わくわくします!
−一番のお気に入りを選んでもらうとしたら、どの写真になりますか?
宵月さん:この写真ですね。紫陽花は雨が似合う花なので、雨のしずくと紫陽花を一緒に撮りたいなと思って撮った写真なんです。自分で育てた紫陽花が綺麗に咲いて嬉しかったので、記念に撮りたかったというのもあって...。透明な傘の内側に入ってスマホで見上げる感じで頑張って撮ったのですが、この日は梅雨時期のなかでもかなり雨が降っていたことも思い出深いです。
−お気に入りに挙げていただいた写真もそうですが、宵月さんの写真は被写体の切り取り方が素敵ですよね。どんなことを意識しながら写真を撮っていますか?
宵月さん:自分の心が動いた瞬間を撮るのが一番なのですが、そのなかでも主役を決めるというか、「最も心が動いたポイントはどこなのか」を写し取るようにすることも意識しています。
例えば紫陽花なら、水滴が付いているところを強調したいのか、それとも紫陽花の花が葉っぱに映る影や木漏れ日を強調したいのかによって撮り方を変えています。
そうすると、あとで写真を見返したときに「この日の私はこんな瞬間に心が動いたんだな」と自分自身を振り返ることができて、写真への思い入れがより深くなるんです。
「私の世界」を広げてくれた、写真。撮るたびに写真も私も成長していく。
−ここまでお話を聞いてきて、写真から受け取るイメージ通り、写真へのまっすぐな思いと、日常を大切にするやさしい気持ちが伝わってきました。最後に、宵月さんが思う写真の魅力と、写真を撮り続けてきて良かったと思うことについて教えてください。
宵月さん:写真のおかげで、世界が広がりました。写真を撮っていなかったら繋がらなかったような人たちと話ができたり、自分がSNSに載せた写真をきっかけに「写真を撮りに行ってみました」「こっちではこういう花が咲いていました」といった交流が広がったりしたことが、私にとって一番の写真による財産だと感じています。
私は、自分の気持ちを言葉にしたりお話をしたりするのがあまり得意ではないほうなので、そういう面でも写真には助けられています。言葉って、言葉のまま受け取ってしまうので時として激しくなるのが怖くて素直に口に出すのが怖い時があるんですけど、写真はもっと自由というか。言葉がない分、自分の気持ちをやわらかいものに変えて出せるところが自分に向いているなと思うんです。
自分がうまく伝えられない部分を写真が代弁してくれるというか、その時感じた気持ちを「それでいいんだよ」と肯定してくれるような...。うまく言えないのですが、写真は私にとって特別な存在であることは間違いありません。
宵月絃さん、素敵なお話をありがとうございました!
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インタビュー出演者が、気になる方へつないでいくインタビューリレー。今回お話を伺った宵月さんが今気になる方は...?近日発表予定!お楽しみに!
Writing by 大西マリコ