最高峰の銀塩技術を用いた富士フイルムの「プレミアムプリント」。なめらかな階調や奥行きのある質感が出せるのが魅力です。
今回は、旅先で出合った風景や日常の一瞬を撮り続ける幸歩さんに、実際にプレミアムプリントを利用してもらいました。思い入れのある作品を3点選んでいただき、それぞれ異なる面種や仕上げ方法でオーダー。初めてのプレミアムプリント体験で感じた感想を伺いました。
幸歩(@yukifilm__)
大学時代にカメラを始め、旅先で心を動かされた景色を撮影している。現在は富士フイルムの「X-T4」(現在は販売終了)を愛用し、色彩表現を追求。朝焼けや夕景など、1日の中で移ろう空の表情を捉えた作品をSNSなどで多く投稿している。
「撮るため」ではなく、「出合うため」に旅をする

――幸歩さんの作品を拝見していると、空や風景の写真が多い印象です。撮影前から撮影シーンをイメージしているのでしょうか?
幸歩さん:実は「これを撮りたい」と決めて出かけることは、ほとんどないんです。その瞬間に心が動いたものを撮ることが多くて。特に、朝や夕方の時間帯が好きなので、結果的にその時間の風景写真が増えているのかもしれません。
旅先では、旅そのものを楽しんで、そこで出合ったものを撮影しています。
私にとって、写真は旅の延長線上にあるものです。誰かと一緒に旅をすれば人物写真が増えますし、一人旅なら風景写真が増える。最初から「今日はこれを撮る」と決めているわけではなくて、その旅の中で出合ったものを自然に撮影している感覚です。

宮城県と山形県の県境にまたがる蔵王山の様子
――その時の景色を大切にされているんですね。
幸歩さん:そうですね。旅先で見つけた景色や空の色、その時に感じた空気感を残したいと思ってカメラを構えています。
空は季節によっても、1日の時間帯によっても表情が大きく変わります。同じ場所でも、冬の朝と夏の朝では色が違うし、夕方になればまた違う表情になる。その変化を見るのが好きなんです。
また、最近では、構図やテクニックよりも「この景色をどういう色で伝えたいか」を意識して撮影しています。私が愛用している富士フイルムの「X-T4」は、「X-T5」の前世代モデルで、フィルムシミュレーション機能があるので、その景色を見たときに、自分が感じた空気感に近い色を選んでシャッターを切るようにしています。
――富士フイルムのカメラを選んだ理由は?

幸歩さん:自分が「素敵だな」と思う写真を撮る方の多くが、富士フイルムのカメラを使っていたんです。同じカメラを使えば同じ写真が撮れるわけではありませんが、「好きな表現に少しでも近づきたい」という思いで選びました。ある意味、自分への挑戦みたいな気持ちだったのかもしれません。
実際に使い始めてみると、機能性だけでなく、レトロな見た目やコンパクトなサイズ感も気に入りました。軽量なので旅行にも気軽に持って行けますし、このカメラに変えてから撮影する機会も増えたように思います。
手元に届いて気づいた、「プレミアムプリント」だから味わえる魅力

――今回は、幸歩さんが撮影した写真を「プレミアムプリント」でプリントしていただきました。完成品を見て、どのような点が印象的でしたか?
幸歩さん:まず驚いたのが、色の再現性でした。ファインダー越しで見ていた世界と色が、そのまま紙の上に表現されている感覚があって。「こんなに忠実に再現されるんだ」と驚きました。
それから、「手に取れる」という体験は大きかったですね。私は、旅が充実しているほど、自分用のお土産を買わなくなるんです。景色を見たり、その土地で過ごしたりするだけで十分満たされてしまうので。
でも、今回プリントが届いたとき、「遅れてやってきた自分へのお土産」みたいだと感じて。旅からしばらく経っているのに、その時見た景色や空気が一気によみがえってきたんです。それがとても嬉しくて、プリントする意味ってこういうことなのかもしれないな、と感じました。
――今回は3作品を、異なる面種と仕上げ方法でプリントしてもらいました。プリントする前に、印画紙の質感を見比べられるサンプルが入った 「見本帳」を見ながら好みの面種を選んでいただきましたが、どのような点を意識しましたか?
幸歩さん:まず、見本帳を見たときに、面種ごとの表現の違いに驚きました。写真のプリントといえば「光沢かマットの2択」というイメージだったので、複数の面種を見比べながら、こんなに違いが出るんだなと感じました。
また、「自分の作品がこの紙にプリントされたら、どう見えるだろう」と想像しながら選ぶ時間も楽しかったです。
非常に高い光沢度とクリアな仕上がりで、まるで鏡に映したような美しい仕上がりになる「クリスタル(超光沢)」
北海道で撮影した朝の風景写真には光沢感がある「クリスタル」を選びました。クリスタルは、光を受けたときの輝きが特徴的だなと感じました。
冬の北海道は空気がとても澄んでいて、朝日もキラキラして見えるんです。その透明感を表現できる面種はどれかなという視点で選びました。
半光沢で指紋が付きにくく、光の反射を抑えた格調高い仕上がりになる「ラスター(微粒面/半光沢)」
この写真はウズベキスタンの砂漠で撮った写真。合わせる面種は、最後まで悩みました。正直、クリスタルにプリントしても、空の青はきれいに出せたと思います。
でも、現地で感じた静けさや、砂漠を抜ける乾いた風を表現するなら、光の反射を抑えたラスターの方が合うと感じてラスターを選びました。

この写真は夜明け前に撮影したのですが、青や紫の本当にわずかなグラデーションが印象的でした。その微妙な色の違いまでプリントにしっかり出ていて。
「私がその場所で見た色彩や空気感が、そのまま表現されている」と感じました。今までモニターで見ていた写真と、ほとんど同じ印象で手に取れたことが嬉しかったです。

作品問わずあらゆるジャンルにマッチする、光沢感が特長の「グロッシー(光沢)」
この写真は、約1年前に地元の福岡で夕暮れ時に撮影した写真。1番ベーシックで使いやすそうな「グロッシー」を選択。自然な光沢があり、風景を素直に表現できそうだなと感じました。
これまで、国内外のさまざまな景色を写真に収めてきましたが、原点にあるのは幼い頃から目にしてきた地元の風景です。一見すると何もないようでいて、私にとっては思い入れのある美しい景色。その魅力を過度に演出するのではなく、ありのままの質感で伝えたい。そんな思いから、自然な風合いを生かせるグロッシーを選びました。
全体的に濃淡の少ない写真ですが、唯一色付いている空の色が鮮やかに再現されていて、心に残る仕上がりになっていると感じました。
また、面全体に自然な光沢が加わることで、夕焼けの余韻が表現され、故郷の何気ない景色が持つ穏やかな美しさをそのまま写真として残せたような気がします。

これは「選択仕上げ」で自分で補正をしたのですが、鉄塔の印象を強くしたいと思ったので、コントラストを上げました。
撮った時と自分の好みが変わっている部分もあったので、青の濃淡を調整。今の自分が好きな印象に調整できる点が良かったです。
同じ写真でも、面種によって印象が変わる。プリントのおもしろさも味わうことができました。
写真の背景まで読み解く「ラボお任せ仕上げ」の魅力
――今回は、富士フイルムの「プリントマイスター」が補正を手がける、「ラボお任せ仕上げ」も利用されていましたね。

幸歩さん:北海道の風景写真をラボお任せ仕上げにしました。「どこで、どの時間帯に撮影したものか」など、細かい情報は特に伝えずに入稿したのですが、仕上がりを見たときにびっくり。
全体的に少し深みが出るよう補正されつつ、私が撮影するときに感じた「朝の澄んだ冷たい空気」がそのまま表現されていて。「こういうふうに仕上げてほしい」という私の思いを、汲み取ってもらえたような感覚がありました。
「プレミアムプリント」で新しい作品と出合った感覚に
――今回、「プレミアムプリント」を体験してみて感じたことを教えてください。

幸歩さん:これまで、自宅のインクジェットプリンターで写真を印刷したこともありましたが、思った色にならないことが多かったんです。青が強く出たり、逆に赤っぽくなったりして。「自分が思い描いていた色と少し違うな」と感じることがありました。
でも、今回のプレミアムプリントは、そうした違和感がほとんどなく、技術の高さを実感しました。普段、写真はデータで保存することがほとんどだったので「プリントすること」の魅力にも気づくことができました。
自分が撮った写真なのに、新しい作品として出合い直せるような感覚。これからは家に飾ったり、大きなサイズでプリントしたりしながら、旅の思い出を日常の中でも楽しんでいきたいと思っています。
Writing by 佐藤有香
Photo by 杉保 毅留、古井夏歩
