光のにじみ方、やわらかな色合い、ほんの少しだけ曖昧な描写――。
デジタルとは違うその雰囲気に惹かれて、フィルム写真を始めた人も多いのではないでしょうか。
でも、いざ撮ろうと思ったときに初心者がつまずきがちなのが、フィルム選び。種類によって色味や質感が変わるからこそ、「どれを選べばいいんだろう」と悩んでしまいますよね。
そこで今回は、Instagramでフィルム写真を発信しているえび。さんに、屋内外問わず使いやすいISO400のフィルム「FUJIFILM 400」と「SUPERIA PREMIUM 400」を使い分けてもらいました。
同じISO400のフィルムでも、色表現が異なる2種。実際の作例をもとに、それぞれの特長や使い分けのコツを分かりやすく紹介します。
何気ない景色にあらわれる、フィルムごとの個性
フィルムの比較が細かくまとめられた、えび。さんのノート
写真好きの両親の影響もあり、学生時代からカメラに触れてきたというえび。さん。社会人になったばかりのころ、父親からフィルムカメラを譲り受けたことをきっかけに、フィルム写真にどっぷりハマっていったのだそう。
えび。さん:初めて現像したとき、くっきり写りすぎていない描写や光のきれいさが、まるで絵の具で描いた絵みたいだなって思ったんです。それまでは旅行先や思い出の写真を撮ることが多かったんですけど、そこからは川のきらめきとか机の上のコンタクトレンズとか、本当にすぐそばにある何気ない風景や光を撮るようになりました。
そんなえび。さんが今回「FUJIFILM 400」と「SUPERIA PREMIUM 400」で撮影したのも、日常の中にある何気ない景色。実際に撮り比べてみると、それぞれに違った魅力を感じたといいます。
やわらかくて落ち着いた描写が魅力:FUJIFILM 400の作例
えび。さん:普段から使うこともある「FUJIFILM 400」は、やっぱりやわらかくて落ち着いた描写が魅力だなと思います。特に印象的なのは、青色や緑色。
光によってはコントラストや色味が強く出ることもありますが、私が感じている「富士フイルムらしさ」が表現されていて、やさしい写りをしてくれるんですよね。
室内や木陰など、光があまり届かないところで撮っても、やわらかな雰囲気が残っていて、そこもいいなと思います。

えび。さん:個人的には、マゼンタ(※)が強すぎないところがお気に入りです。例えばこの花の写真は赤色がやわらかいトーンで写っていて。レトロな雰囲気が好きな自分には、すごくしっくりくる一枚になりました。
※印刷物を構成する4色の要素「CMYK」のMに当たる色。CMYKは、C=シアン(藍)、M=マゼンタ(紅)、Y=イエロー(黄)、K=ブラック(黒=キープレート)で表され、赤や紫を鮮やかに再現する色。

シャープでクリア、そして鮮やか:SUPERIA PREMIUM 400の作例
えび。さん:「SUPERIA PREMIUM 400」の写りは、シャープでクリア、そして鮮やか。影の入り方もすごくきれいで、撮るものが自然と主役になるような感覚がありました。
風景などを引きで撮ると、全体を柔らかく撮ることができる「FUJIFILM 400」に比べると、全体的にコントラストがはっきりして写ることもあるのかなという印象。

えび。さん:色も全体的に鮮やかに出る印象です。特に赤色は、マゼンタが少し強めなのか、「FUJIFILM 400」と比べてもかなりはっきり写るなと思いました。
このプリンの上のさくらんぼの赤も、しっかり強調されていますよね。

やさしく写すか、主役を立てるか。FUJIFILM 400とSUPERIA PREMIUM 400の使い分け
えび。さん:それぞれのフィルムで撮った写真を並べてみると、それぞれの写り方の違いや特長がさらにわかりやすくなりました。
例えば、これは同じカメラで、晴れた日に花にフォーカスして撮影した写真。「FUJIFILM 400」は、花がまわりの風景に自然となじんで、一枚の絵のように見えますよね。一方で「SUPERIA PREMIUM 400」は、花がくっきりと立ち上がって、主役に見える感じがあります。

(左)FUJIFILM400で撮影(右)SUPERIA PREMIUM 400で撮影
えび。さん:これは、晴れた日の午後に同じカメラで人物を撮影した写真。人物写真だと、「FUJIFILM 400」は光の入り方がやわらかいからか、髪の毛の動きや質感まできれいに写してくれる印象があって。
一方で、マゼンタの赤みを活かした表現が得意な「SUPERIA PREMIUM 400」は、肌の血色感をきれいに見せてくれます。影の入り方も美しいので、肌の立体感もしっかり出るなと思いました。

晴れた午後の日に、同じカメラで撮影した写真
(左)FUJIFILM400で撮影(右)SUPERIA PREMIUM 400で撮影
えび。さん:そう考えると「FUJIFILM 400」はスナップや思い出の記録など、その場の空気ごと残したいときに。「SUPERIA PREMIUM 400」は、物撮りや手元のアップなど、撮りたいものの存在感を引き立てたいときに使うとよさそうだなと思いました。
個人的には、カメラごとに違うフィルムを入れて、撮りたいものに合わせて使い分けてみたいですね。例えば川に出かけたとき、「FUJIFILM 400」で川全体の風景を撮って、「SUPERIA PREMIUM 400」で水面のきらめきを狙ってみる。そうやって使い分ければ、同じ場所でも全然違う描写を楽しめそうです。
また、新しい気づきもありました。これまではテーブルフォトってなんだかしっくりこなくて、実はちょっと苦手意識があったんです。だから、スナップばかり撮っていて。
でも、今回初めて「SUPERIA PREMIUM 400」を使ってみて、テーブルに置いたアイテムがこんなに引き立つことがあるんだと、驚きました。

今では家の中でお気に入りの布を敷いてテーブルフォトを撮ったり、レイアウトを組んで物撮りに挑戦したりするのが本当に楽しいです。
撮ったあとの現像は「写ルンです+」で手軽に
フィルム選びと同じくらい大切なのが、撮影後の現像。「撮り終わったフィルムの現像ってどこですればいいんだろう?」と迷う方におすすめしたいのが、郵送だけで手軽にカラーネガフィルムの現像ができるサービス「写ルンです+」です。
使い方はとてもシンプル。アプリをダウンロードして対象のフィルムを選択したら、あとは梱包してコンビニから発送するだけ。約1週間後には、スマホのアプリに写真データが届きます。

スマホアプリ「写ルンです+」に届いた現像データ。
(左)「SUPERIA PREMIUM 400」のデータ(右)「FUJIFILM 400」のデータ
この手軽さには、普段カメラ屋さんに足を運んでいるというえび。さんも驚いた様子。それから、アプリ内のある"仕掛け"にも心を掴まれたといいます。
えび。さん:実は私、現像ができるまで待ちきれないタイプなんです(笑)。でもこのサービスは、データが届くと写真が一枚一枚、まるで絵本をめくるように画面に現れるんですよ。その演出がたまらなく好きで......!「1週間待ってよかったな」と思えるので、これから富士フイルムの現像はここに頼もうかなと思っています。
さらに「写ルンです+」の嬉しいポイントは、現像に加えてハーフサイズプリントの注文もできること。フチの有無や、マット・光沢といった紙の質感もお好みで選べます。これには、普段からハーフサイズでよくプリントするというえび。さんもにっこり。
「FUJIFILM 400」と「SUPERIA PREMIUM 400」で撮影した写真をハーフサイズプリントに
えび。さん: もともとハーフサイズプリントが好きで、大切な人へのプレゼントに添えたり、裏にメッセージを書いてアルバムに入れたりしていました。小さくて可愛いのはもちろん、いろいろな楽しみ方ができるのがいいですよね。
これまでは近くのカメラ屋さんでプリントしていたので、アプリで注文できるのは本当にありがたいです。
FUJIFILM 400 × フチあり・マットえび。さん:フィルムらしいどこか懐かしい写りと、マット特有のざらっとした質感がスナップ写真にぴったり。まるでチェキみたいで可愛いです。
SUPERIA PREMIUM 400 × フチなし・光沢
えび。さん:キラキラ、ツヤツヤしていて、色や陰影がすごくきれいに映えます。まるでアート作品のような仕上がりになりました。
現像データってどうしてもデバイスの中で埋もれがちだから、プリントすると思い出がちゃんと手の中にある感じがしてすごく嬉しくなるんですよね。
まるでその場の笑い声や音が聞こえてきそうで、「あのときの記憶をそのまま写し出してくれているな」と感じたんです。
今回2つのフィルムで撮影してみて、それぞれの描写の違いだけでなく、絵に描いたような質感を見て、やっぱりフィルムが好きだなと思いました。
また、プリントすることで、人の温もりや柔らかさが自然と伝わってくる部分にもフィルムらしさを感じました。
これからも撮りたい対象にあわせてフィルムを変えながら、表現の幅を広げて写真を楽しみたいです。
Writing by しばた れいな
Photo by 古井 果歩
