"暮らしの温もりを写す写真家"として、長野県を中心に出張撮影を行う写真家の渡邉志保里さん。彼女が写す家族写真には、忙しなく過ぎていく日々の中にある愛おしい瞬間がたくさん詰まっています。
そんな渡邉さんのご自宅を見せてもらうと、階段の壁には自身の子どもたちとの日々を記録した写真がずらり。渡邉さんはその場所を「家族の歴史を刻むギャラリー」と呼びます。
今回は、新たにギャラリーに加える写真を富士フイルムの「+precious」で額装。家族との日々を写真に残す魅力や、写真を"かたち"にすることで生まれた変化、そして写真を素敵に飾るための工夫についてお話を伺いました。
渡邉志保里(@shihori_watanabe)
「暮らしの温もりを写す写真家」として長野県を拠点に家族の出張撮影を行う。2025年10月から2026年6月まで家族4人で世界一周の旅に。Instagramでは長野県での家族との日常を、写真と文章で綴っている。
日々の暮らしの中にこそ、残しておくべき家族の姿がある
----渡邉さんが撮る写真には、そのご家族ならではの空気感が写っているように感じます。出張撮影で心がけていることがあれば教えてください。
渡邉志保里さん(以下、渡邉さん):家族らしさって特別な日よりも、普段の暮らしの中にこそ表れると思っていて。だから撮影では、ご自宅やいつも遊んでいる公園など、そのご家族にとって馴染みのある場所を選ぶようにしています。
撮影前には、親御さんに「お子さんと過ごす中で、どんな時間が好きですか?」とお聞きしていますね。「夜、ベッドで一緒に絵本を読む時間」と答えた方なら、寝室でご家族が川の字に寝ているところを撮影したり、「一緒にご飯を食べる時間」と答えた方なら、お昼どきにうかがって、食卓を囲んで撮影したり。なるべく普段に近い姿を捉えられるように工夫しています。

渡邉さんが撮影したご家族の一枚
----渡邉さんが、日常を切り取ることの魅力に気づいたきっかけを教えてください。
渡邉さん:4年ほど前に長野へ移住して、家族と過ごす時間がぐっと増えたことがきっかけです。家で写真を撮ることが多くなって、あとから見返したときに愛おしく感じるのは、意外と家で過ごす何でもない日の写真なんだと気づいたんです。
例えば私は、子どもたちの寝顔をよく撮るんですけど、写真を見返すと「大きくなったな」と思う一方で、「こうやって寝顔を撮れるのも今だけかもしれない」と感じて。そんな積み重ねのなかで、何気ない日常こそ残していきたいと思うようになりました。
ご自宅のリビングに飾られている2人のお子さんの写真。「WALL DECOR カジュアル」で額装。
----ご自身のお子さんを撮るときと、出張撮影でご家族を撮るときとでは、撮り方や心持ちに何か違いはありますか?
渡邉さん:基本的には変わらないですね。きれいに撮ることはあまり意識していなくて、親目線で「愛おしいな」「尊いな」と感じた光景を純粋な気持ちで撮ることを大切にしています。
うちの子は9歳と5歳なので、それよりも小さなお子さんを撮るときは、「もし自分の子どもがこの頃に戻ったら、どんな瞬間を残しておきたいだろう?」と考えるようにしています。
例えば、おむつを替えているときや、親の前で思いきり泣いている姿って、普段はわざわざカメラを向けないと思うんです。でも、おむつをする時期はいつか終わるし、親の前で泣くことも少しずつなくなっていく。だからこそ自分の経験と重ね合わせながら、数年後には見られなくなるかもしれない尊い光景を、意識して残すようにしています。
完成形を決めずに育てていく、階段に設けたギャラリー
階段の壁に設けられた「家族の歴史を刻むギャラリー」
----ご自宅に写真を飾り始めたのはいつ頃からですか?
渡邉さん:2024年に富士フイルムのプリントデイズ公式アンバサダー(※)になってからですね。実はそれまでは、写真をアルバムにまとめることはあっても、家の中に飾ったことはなかったんです。
ただ、娘がそのアルバムを抱きしめながら寝ている姿を見て、「写真って "かたち"にすると、より家族のものになるんだな」と感じたことがあって。アンバサダーになったのを機に、写真を飾ってみようと思いました。
※写真プリントの魅力を発信する富士フイルムの公式アンバサダー。さまざまなプリント商品を暮らしに取り入れ、その楽しみ方や活用方法をSNSなどで紹介する活動を行っている。
----飾る場所や写真はどのように決めていきましたか?
渡邉さん:家族写真を飾るなら毎日目につく場所がいいなと思い、階段の壁をギャラリーの場所に選びました。階段なら子どもたちの遊び場にもならないし、安全面でもちょうどいいかなって。
写真は、子どもたちの原点をいつでも振り返れるように、娘が0歳、息子が4歳だった頃のものを中心に飾っています。ただ、このギャラリーは写真を1枚ずつ増やしながら作ってきたので、最初から完成形を決めたり、細かいルールを作ったりしていなくて。そのとき飾りたいと思った写真や額を自由に選んで、増えるたびに配置を変えています。
額の色選びの基準もきっちりとは決めていなくて。でも、何気ない日常を切り取った写真には茶色、少し作品っぽく見せたい写真には黒を選ぶことが多いですね。
唯一意識しているのは、子ども2人の写真が偏らないようにすること。それぞれの写真をバランスよく混ぜながら、どちらかが寂しい思いをしないようにしています。
ちなみに、ここに飾っている写真は、すべて富士フイルムの「WALL DECOR」または「+precious」でかたちにしたものです。
これがとにかく軽くて!画鋲ひとつで簡単に飾れるので、レイアウトの調整がしやすいんですよね。
なかでも+preciousは、木のフレームがインテリアに馴染みやすく、立てかけて飾ることもできるので「もし壁に飾ってしっくりこなかったら、別の場所に置けばいいか」と思える気楽さがあって。だからこそ全体のバランスを考えすぎず、そのとき飾りたいものを素直に選んでいるのかもしれません。
キッチンに立てかけた+precious(プラスプレシャス)frame #001の額。中の写真を娘さんが描いた絵に入れ替えるアレンジも
----写真を飾るようになって、ご自身の気持ちやご家族の様子に何か変化はありましたか?
渡邉さん:家族の会話が増えましたね。というのも、写真に写っている頃のことを、子どもたちはほとんど覚えていないんですよ。だから写真を見ながら「こうやってお兄ちゃんに抱っこされていたんだよ」と話したり、子どもたちのほうから「この写真が好き!」と教えてくれたり。目に入る場所に写真があることで、自然と思い出話をする機会が増えました。
次に飾る写真も「どれがいい?」と子どもたちと一緒に選んだりして。スマホやカメラの中にあるときは私が撮った写真でしかないけれど、飾ることで"家族みんなの写真"になっていくような感覚があります。
家族で旅した記憶を、それぞれの視点で残していく
----今回、富士フイルムの+preciousで、新たにギャラリーへ加える写真を3点、かたちにしてもらいました。写真選びのテーマについて教えてください。
渡邉さん:今回は、子どもたちが撮った写真もギャラリーに加えたいなと思って。2025年から2026年にかけて家族で世界一周をしたとき、娘と息子にもカメラを持たせていたので、それぞれ自分が撮った写真の中からお気に入りを選びました。子どもたちは編集アプリで色味の調整を行ったり、額選びにもトライして、娘、息子、そして私の順番で写真を決めていきましたね。
----お子さんたちが選んだ写真について教えてください。
渡邉さん:娘が選んだのは、パリで撮ったエッフェル塔の写真です。私がすごいなと思ったのが、この写真のブレ。娘はかわいいものが大好きなんですけど、「ブレたほうがかわいいから、わざとカメラを動かして撮った」と言うんですよ。私は写真を撮るときにかわいくしようという発想があまりなかったので、「そんな見方があるんだ!」って。
色味を調整するときも、赤紫の要素を少し強くして、より自分の思う"かわいい"に近づけていましたね。撮るところから仕上げるところまで、自分の好きな世界観を貫いているのが娘らしいなと思いました。
一方、息子が選んだのは、アメリカ・ユタ州のアーチーズ国立公園で撮った砂岩のアーチの写真。行くまではその場所を知らなかったそうなんですけど、実際に目の前で見て「かっこいい」と思って撮ったみたいで。
実は最初は、カンボジアで井戸水を汲む娘の写真と迷っていたんです。でも、娘が選んだ写真を見て、「一緒に飾るなら、風景のほうがよさそう」と、飾った時のバランスを考えて最終的にこちらを選んでいましたね。
フレーム選びでも、本人は黒が好きなので最初はマットも黒にしようとしていたんですが、妹が黒フレームに白マットを合わせているのを見て、「一緒のほうがいいかも」と白に変更していました。意外と周りをよく見ているんだなと驚きましたね。
写真のお気に入りポイントを聞いてみると、「アーチが二重になっているところがかっこよかった!」と教えてくれたお兄ちゃん
----渡邉さん自身は、3枚の写真を選ばれたんですね。
はい。最初は私も、子どもたちのように1枚だけ選ぼうと思っていたんです。でも、階段のスペースも写真で少しずつ充実してきたので、ここで3枚組を入れたらアクセントになるかなと思って。
選んだのは、いわゆる記念写真ではなく、旅先で過ごす何気ない時間を写した写真。真ん中に寝顔の写真を置いて、その左右に成長を感じるそれぞれの写真を配置しました。
元々旅好きだった夫の影響で、子どもたちの「行ってみたい」という気持ちもあり、今回家族4人で世界一周することに。子どもと一緒にいられる時間は有限だからこそ、今4人で旅に出たいと思いました。旅を通して、2人ともぐっと大人びたように感じたんですよね。自分からできることが増えたり、知らない場所や文化にも好奇心のまま飛び込んでいけるようになったり。でも寝顔って不思議で、成長とともに顔つきが変わっていっても赤ちゃんの頃からどこか変わらないんです。
そうやって変わった姿と変わらない姿を3枚並べることで、世界一周の思い出を残しながら、2人の成長を感じられるようにしました。
余白を活かして、違う写真もひとつの景色に
----今回、制作いただいた写真をギャラリーに加える際、どんなことを意識しましたか?
渡邉さん:感覚的ではあるんですけど、フレームの色や大きさのバランスは意識しましたね。同じ色のフレームが続きすぎないようにしたり、大きな写真が続いたら次は小さなものを置いたり。ただ、左右対称にきれいに揃えすぎると、かえって不自然に見える気がするので、あえて法則性は持たせすぎないようにしました。
新たな写真を加えたギャラリー
配置は、写真の内容よりもフレームの色や形で決めることが多いです。このギャラリーで飾る写真は、WALL DECORも+preciousと同じように、マットが入ったタイプで揃えています。マットがあることでテイストの違う写真を並べてもまとまりやすくて。今回のように風景写真と人物写真を隣同士に飾っても、白い余白があるおかげで自然と馴染む気がします。
----今回、初めて子どもたちが撮った写真をこのスペースに加えてみて、いかがでしたか?
渡邉さん:なんかもう、かなわないなって思いました(笑)。私だったらエッフェル塔を「かわいく撮ろう」という発想はないし、他の写真と一緒に風景写真を飾ることもなかったと思うんです。今回、子どもたちの写真を飾ってみたことで、自分にはない感覚に気づけたのがおもしろかったですね。
子どもたちも仕上がった写真を見て、「早く飾って!」とすごく嬉しそうで。自分で撮って選んだ写真が家に飾られることで、「自分の写真、いいじゃん!」って思えるきっかけにもなるのかなって。今回ふたりの写真が加わって、この写真スペースがより"家族みんなのもの"になったように感じます。
----これから、写真を飾る楽しみをどのように広げていきたいですか?
渡邉さん:世界一周をしていたとき、海外のお家で家族写真を飾っているのをよく見かけたんです。壁一面に夫婦のこれまでの写真が並んでいたりして、それがすごく素敵で。これからも写真をもっと身近に感じられるような飾り方を楽しんでいきたいと思いました。階段は今回でだいぶ賑やかになったので、次はほかの場所にも飾っていきたいですね。
Writing by しばた れいな
Photo by 古井 果歩
