マンチカンのはなちゃん、ももちゃんの写真を発信するSNSアカウント「チューと言えばニャー」。このアカウントを運営する飼い主さんは、2013年から10年以上にわたり、愛猫のフォトカレンダーを作り続けています。
毎日目に入るカレンダーに愛猫の写真を残す醍醐味とは、どこにあるのでしょうか。また、大切な存在との思い出を写真に残すことの意味とは?
2024年にももちゃんを亡くし、その意義を痛感しているという飼い主さんに、インタビューしました。
愛猫の写真がSNSのつながりのきっかけに

--愛猫の写真をSNSにアップするようになったきっかけを教えてください。
はながうちに来た当時、2010年頃はまだブログが全盛期で、猫ブログが流行っていたんです。人気があるブロガーさんだと本を出版するほどで。それで自分でもやってみたくなって始めたんです。そのうちにTwitter(現X)が流行りだしたので、ブログから移ってきました。
ある年、カレンダーの前に映るはなが、合わせ鏡のように連続して見える写真の投稿に、たくさんの「いいね」がついて拡散されました。そこから毎年3月は、カレンダーの前に映るはなやももを撮るようにしています。

見てくれる方から、かわいいってコメントをもらえるととてもうれしいです。昔から、はなとももの成長を見守ってくれている方も何名かいらっしゃって。
なかにはカレンダーをほしいと言ってくださるフォロワーさんもいて、直接話したこともお会いしたこともないのですが、毎年カレンダーができるとお送りする関係がずっと続いています。
愛猫の決定的瞬間を逃さず撮り続ける

--普段、どんな瞬間を写真に収めていますか?
はなとももが若かった頃は、飛んだり跳ねたりと元気に動き回るので、躍動感のある写真が多かったですね。一眼レフで高速連写したりもしていました。いまは高齢になったので、のんびりリラックスしているところを撮影することが増えました。
昔も今も変わらないのは、決定的瞬間を逃さず撮れるよう意識することです。よく寝たあとやごはん食べたあと、はながいい気分で、「撮るなら今だよ」と言わんばかりの表情でこちらを見つめてくるんです。
あとは、はなとももは全然性格が違ってそんなに仲がよくなかったので、2匹で近くにいる瞬間が少なくて。でもやっぱり一緒にいるところを撮りたいので、チャンスがあればすかさずカメラを構えていましたね。
--決定的瞬間を逃さないためのコツはありますか?
カメラをどれだけすばやく構えられるかが勝負ですね。だからスマホのカメラは重宝しています。
ただ、昔撮った一眼レフの写真をあらためて見ると、毛並みなどの立体感はやっぱり一眼が数段上ですね。時によって両方を使い分けられるとベストなのかもしれません。
13年間のカレンダーに詰まった思い出
--2013年から10年以上にわたり、富士フイルムの「プリント&ギフト」のサービスで、毎年カレンダーを作られているようですね。
はい。リビングのいちばん目立つところに、壁掛けカレンダーを常に飾っています。はじめは壁掛けのカレンダーを作ったのですが、使う写真をセレクトするときにギリギリで選外になってしまった写真がもったいなくて、さらに卓上カレンダーも作るようになりました。

壁掛けカレンダーは写真を大きく使えるので迫力があっていいですし、卓上カレンダーは場所を取らずに飾れるので使い勝手がよくて。
職場のデスクに飾ったり、実家や行きつけの動物病院などにプレゼントしたりして楽しんでいます。

もともと写真をプリントするのが好きで、カレンダーのほかにも個別でたくさん印刷して、いろんなところにマスキングテープで貼ったりしているんです。
パソコンやスマホのなかに入れているだけだと、見ようとしないと見られないですからね。生活のなかでいつでも目に飛び込んでくると、うれしい気持ちになります。額に入れている写真は、お気に入りの一枚が撮れると、その都度入れ替えたりもしますね。
--カレンダーの仕上がりについてはいかがですか?
画質や発色、紙質などのよさに期待して富士フイルムの商品を選びましたが、すべてにおいて大満足です。特にこの写真は、瞳の輝きまで綺麗に写っていて気に入っています。

最初に作ったものは10年以上も保管しているのに、まったく劣化していないんですよ。リング綴じなので、破かずに使えるところもいいですね。
最近は、写真のレイアウトも細かくいろいろ選べるようになりましたし、季節を感じさせるイラストなども入れられるようになって。はなとももの誕生日を書き込んだり、クリスマスやハロウィンはイラストや文字を入れたり。試行錯誤しながらカレンダー作りを楽しんでいます。
一枚でも多くの思い出を。プリントして形に残す大切さ

--愛猫の姿を、写真やカレンダーという形に残してきてよかった、と感じることがありましたら教えてください。
こんなふうに昔のカレンダーを振り返るのって、実は初めてなんです。眺めていると、写真を撮った当時のことを鮮明に思い出しますね。小さかった頃は、そういえばこんなふうにいろんなお洋服を着せていたな、とか。コロナの時期は私たちも在宅で働くようになって、はなとももと過ごす時間が増えて貴重だったな、とか。
たくさん写真を撮ってきたのは、単にかわいいからというのはもちろん、いつかお別れするときのために一枚でも多くの思い出を残しておきたいという思いもありました。
そして実際に昨年、ももがいなくなってしまった今、思い出を形の残す大切さを痛感している日々です。カレンダーはだいたいその前年に撮った写真を使っていますので、成長する姿、年老いてゆく姿を残せてよかったなと思っています。

ももが亡くなったあとは、生前に撮影した膨大な写真を使ってフォトブックも作りました。まとめてアップロードすると、自動でレイアウトまでしてくれるのが助かりましたね。たくさんの写真が並んでいるので、眺めているといつまでも飽きないです。
私は、今羊毛フェルトの教室に通っていて、ももの姿をかたどった作品をたくさん作っているんです。写真を見ると、そのなかでは元気な姿でいてくれるのがうれしいし、作品を作るときも写真を見ながら色味や形を参考にしています。作りながら、もものことを思い出す時間に浸っています。
撮り溜めた写真をこれからもカレンダーに

--愛猫が本当に大切な存在なんですね。
そのとおりです。今は夫婦で飼っているのですが、夫婦円満の秘訣は、猫なんじゃないかと思っているくらい(笑)。今、はなは慢性腎不全という持病があって2日に1回家で点滴をしているんですが、いつも一人がはなを押さえてもう一人が針を刺す、という役割分担でやっているんです。
だから喧嘩していたらできないし、万が一喧嘩していても「点滴の時間だね」と、会話のきっかけになる。私たちがずっと仲良くいられているのは、はなともものおかげだと思っています。
--今後、どんな写真を撮影していきたいですか?
カレンダーにするときに、月毎の季節感を感じさせる写真があるといいな、と思いながら撮れていないので、今後は挑戦したいですね。
あとは、SNSにあげることを念頭に置くと、なるべく部屋のなかが映らないようにとかいろいろ気にしながら撮るんですよ。だからそうではなく、純粋に自分たちのためだけの家族写真とか、そういったものも今後は積極的に撮っていきたいです。

ももの新しい写真はもう撮れないですが、たくさんのコレクションのなかから厳選して、今後もカレンダーを作っていきたいです。
チューと言えばニャー(@AminoCyu)
マンチカンのはな&ももの日常を投稿している。カレンダーの前に映った愛猫の写真を毎年撮ってXに上げたところ話題に。
Writing by 原 里実
Photo by 古井 果歩


