みなさんは普段、撮った写真をどんなふうに楽しんでいますか?アルバムにしたりSNSで共有したりと、さまざまな方法がある「写真の楽しみ方」ですが、今回はインテリアとして「飾って楽しむ」方法をご紹介します。お話を伺ったのは、インテリアスタイリストとして活躍するさかのまどかさん。さかのさんのお家にお邪魔して、お部屋に写真を取り入れるコツを教えていただきました。
「世界にひとつだけ」のアイテムがもたらす表情豊かで、居心地の良い部屋に。
-- 素敵なお家ですね!植物と木のぬくもりが溢れていて、とても落ち着きます。さかのさんは、お仕事でインテリアのスタイリングをされる際も植物や花を多く使っていらっしゃいますよね。
さかのさん:ありがとうございます。植物やヴィンテージ家具を使用したスタイリングは私の特徴といいますか、得意分野です。植物やヴィンテージのアイテムって「この世にひとつしかない」じゃないですか。私自身、量産品よりも、それぞれの個性があるものに魅力を感じる傾向があるのですが、そういったものをひとつ入れることで部屋の表情が豊かになって"密度"が変わるので、よく取り入れています。
-- さかのさんはインテリアショップ「Francfranc」のディスプレイを始め、商業施設やカフェなど幅広くインテリアスタイリングを手掛けていらっしゃいますが、どんなことやものをアイデアの参考にされていますか?
さかのさん:新しいお店ができたら実際に見に行きますし、雑誌や洋書などを買って海外のインテリアもよく見るようにしています。アンティークの家具や雑貨を探しに、東京だけでなく九州や岡山、京都にあるお店にもよく行きますね。東京は中心地なので、もちろん良いものは集まってくるというメリットはありますが、地方には土地の広さを生かした大きな倉庫があって、扱っている物も違うので、そこから探すことで視野が広がるんです。
インテリアのプロならではのテクニック満載!お気に入りの写真を「飾って楽しむ」コツ。
ここからは、壁に飾った写真を見ながらお話を伺います。部屋の各所に貼っていただきましたが、どれもとっても素敵な飾り方ですね!それぞれのポイントをお聞きしました。
● 思い出の風景は「キャンバス地×スクエア」でラフに飾る
さかのさん:写真がスクエア型なので、それを4つ並べてひとつの正方形を作りました。シンプルに並べるだけですが、写真にストーリーが出ておしゃれな雰囲気に。今回飾った風景や食べ物など抽象的な写真はお部屋のインテリアによく馴染みます。
写真は全て、アメリカのポートランドに旅行した際にiPhoneで撮影したもの。ラフなキャンバスプリントとポップな風景写真が相性◎。右上はさかのさんの大好きな場所になったと言う『POWELL'S BOOK STORE(パウエルズブックストア)』。夜遅くまで営業しており、新刊も旧刊も同じ棚に並んでいるのが特徴のユニークな本屋なのだそう。見るたびに思い出が蘇るのも部屋に写真を飾ることで得られる楽しみのひとつです。
さかのさん:キッチンの一角には、旅先で食べた料理の写真を置いてみました。スクエア型のキャンバスプリントは、壁に立て掛けてインテリアの一部にしてもおしゃれです。アメリカの写真ですが、イタリアやウズベキスタンなど色々な国の食器と並べてオリエンタルなイメージにしてみました。
寝室の壁にはポスターやイラスト、ぬいぐるみ(実は作家さんの作品でティッシュケース)、スワッグとともにWALL DECORのキャンバススクエアでプリントした写真が。写真の雰囲気と周りに配置しているアイテムの雰囲気が合っていてとてもおしゃれ!
● インパクト写真は「ハーフフレーミング」でカジュアルダウンを
さかのさんが「お気に入り」というこちらの写真は、展示のために自身が制作したスタイリングを写したもの。光沢のある「ミュージアムタイプ」でプリントした写真は、まるで絵画のように美しい風合いに。蚤の市で購入したというフレームはところどころ欠けており、重厚な額の印象をカジュアルダウンしてくれています。
さかのさん:大きくてインパクトの強い写真って部屋から浮きがちで、インテリアのひとつとするには飾りにくいですよね。かしこまった印象になる額装も同様です。でも、この写真がとても気に入っていて飾りたかったので、"ハーフフレーミング"と言いますか、フレームのみを使って写真を飾りました。こうするとカジュアル感が出て部屋にも馴染むし、窓がもうひとつできたみたいな感じになって、立派なインテリアになります。今回は大きなサイズのものを1枚飾りましたが、小さいものを2枚くらい横並びに飾ってもかわいい!枠の中で色々遊べる飾り方です。
● 「チェキ」はインテリアだけでなく、プレゼントにも最適
インスタントカメラ「チェキ」で撮った写真を発見!トレーの上にさらりと置くだけで、こんなに素敵なインテリアのひとつになるのですね。
さかのさん:『チェキ』は、この他にも冷蔵庫やトイレにペタペタ飾ったり、手紙に添えて送ったりしています。『スマホ de チェキ』を使えばスマホからプリントできて手軽ですし、写真自体にメッセージを書き込めるので、仕事でお世話になった方にちょっとプレゼントするのに気兼ねなくできて重宝しています。
お部屋の雰囲気を自在に変える。「インテリア」として楽しむ、写真の魅力
-- すぐに真似したくなる、素敵な写真の飾り方を教えていただき、ありがとうございました!最後に、部屋作りのアドバイスとインテリアに写真を取り入れることの効果をお願いします。
さかのさん:部屋作りのアドバイスは、「失敗を恐れないこと」だと思います。インテリアって、「一度飾ったら、二度と動かせないぞ...!」という意気込みで飾る人が多いんですね。でも、初めは好きなものに気軽に挑戦していって、たくさん失敗したら良いと思います。失敗することで自分の好みが分かってきて、心地よい部屋を作れるようになっていくと思うので。
上手になるコツとしてひとつ挙げるなら、洋服と同じように「メインになるもの」を決めると良いですね。例えば「今日はデートだからピンクのスカートを履こう」というように。そこから靴や小物を合わせる方が全体が作りやすく、失敗が少なくなりますよね。インテリアも同じで、主役にしたい物を決めて、その周りから飾っていくのがおすすめです。
写真は、部屋の雰囲気を手軽に変えられる存在だと思います。被写体、プリント、大きさ、飾り方、飾る場所を変えることで、自由自在に部屋のコーディネートを楽しむことができる。主役にもスパイスにもなれるし、気に入らなければすぐに変えられますよね。インテリアのひとつに「写真」を取り入れてみてもらい、もっと気軽にお部屋作りを楽しんでもらえたらうれしいです。
−−さかのさん、素敵なお話をありがとうございました!
さかのまどか
HP:http://coryo.co
instagram:@coryo.co
雑誌・webなどのメディアおよび広告撮影時のインテリアスタイリング、商業施設・カフェ・ホテル・オフィスなどのアートワークやディスプレイ提案をしており、ヴィンテージアイテムやハンドクラフト、グリーンを取り入れたスタイリングを得意としている。最近ではリニューアルオープンにつき、セルリアンタワー東急ホテル COU CAGNOのスタイリングを担当。
匂いを感じられるインテリア、ストーリーを大切にしたインテリアスタイリングを心がけており、不定期でワークショップも開催中。
Photo by 上野裕二
Writing by 大西マリコ