思わず「かわいい」と言わずにはいられない、真っ白でふわふわなフォルム。写真家・丸尾和穂さんと暮らす、猫のノンタンです。
日々の生活でも、カメラを手に取る機会が多いという丸尾さん。これまでもノンタンの何気ない表情や仕草をたくさん写真に収めてきました。
今回は、そんな丸尾さんに愛猫を撮るうえで大切にしていることについてインタビュー。また、富士フイルムの「+precious frame #002」と「WALL DECOR ギャラリー」で、お気に入りの写真を額装してもらい、その感想についてもうかがいました。
猫の写真は、飼い主との関係性がそのまま写し出されるもの

----丸尾さんから見て、ノンタンのチャームポイントはどこだと思いますか。
丸尾和穂さん(以下、丸尾さん):抱っこをするとため息をついたり、毛虫みたいにモゾモゾ動いたり、猫らしくない面白い動きをするところかなと思っています。というのも、うちにはもう1匹猫がいるのですが、その子は賢くて情に熱いかんじのタイプで。一方で、ノンタンはすごく陽気で自然体なんです。まるでゆるキャラのような(笑)。
----2匹の猫と一緒に暮らすなかで、丸尾さんは猫のどんなところに魅力を感じているのでしょう?
丸尾さん:やっぱり距離感ですね。ふらっとどこかに行ってしまうけれど、だからこそ猫は猫、私は私で、それぞれの時間を楽しめるというか。でも、近くにいるときは「仲良くしようね」みたいな空気感もあって、そのべったりしすぎない感じが居心地いいなと思います。

----そんな"ちょうどいい距離感"を持つ猫は、被写体として一筋縄ではいかない存在だと思います。猫を写真に収めるうえで、丸尾さんが大切だと思うことは何だと思いますか?
丸尾さん:"どう撮るか"というよりも、"どれだけコミュニケーションをとっているか"が、猫の写真を撮るうえで大切なんじゃないかなと思います。
カメラを向ける行為って、猫からしたら何をされるかわからないですよね。それでも逃げなかったり、むしろ近づいてきてくれたりするのは、普段から目と目を合わせて会話をしたり、よく撫でたりして、信頼関係を築けているからだと思うんです。私は、ノンタンに常に話しかけたり一緒に寝たりしていますが、猫の写真って、そういった飼い主との関係性がそのまま写るもののような気がしています。
あとこれは、コミュニケーションとは少し違うかもしれませんが、カメラをソファなどの日常空間にポンッと置いています。
カメラって、猫からすると黒くて大きい物体で少し怖いと思うのですが、普段から目に触れているからか、ノンタンはカメラをまったく怖がらなくて、むしろ興味を示してくれています。
主役を決めて引き算すると印象的な一枚に

----丸尾さんは、どういう瞬間にノンタンを撮影することが多いですか?
丸尾さん:私の場合は、猫が撮りたくてカメラを構えるというよりも、「今日は写真を撮りたいな」と思ったときにカメラを構えて、その流れのなかでノンタンを撮ることが多いんです。だから、特に「こういうときに撮る」とは決めていないですね。
ただ、その日のノンタンのコンディションを見ながら、撮る内容を決めるようにはしています。
たとえばノンタンの目は、日によって黄色っぽかったり、グリーンっぽかったりと、見え方が違うんです。個人的にはグリーンのほうが似合っている気がするので、「今日はグリーンっぽいな」と感じたら目の色がわかる写真を撮ったり、逆に黄色っぽい日は寝ている姿を撮ったりしています。

丸尾さん:また天気や季節によっても写真の雰囲気は変わるので、たとえば晴れた日は光が差し込む場所で撮り、雨の日は窓ガラスに流れる水の前で撮るなど、撮影するシチュエーションを変えています。私は、冬に部屋の奥まで光が入ってくる様子が好きで、よくシャッターを切ります。
----愛猫を素敵に撮るためのコツがあれば教えてください。
丸尾さん:まず「うまく撮ろうとしないこと」が大事なのかなと思います。
うまく撮ろうすると、どうしても型にはまってしまうというか、 "映え"を意識した写真だと、人に見せるための写真になってしまいがちな気がしていて。
でも、愛猫の写真って、本来は自分のために撮っているものですよね。だから、見え方や構図を気にしすぎず、純粋な気持ちで撮ることがいちばんなんじゃないかなと。
そのうえで印象的な写真を撮りたいなら、「写真の主役を何にするか」を意識しながら撮るといいと思います。
例えば、猫の表情を撮りたいなら顔にフォーカスしたり、猫を照らす光を撮りたいなら光を真ん中に入れてみたり。主役を明確にして、それ以外の余分な情報を引き算していくと、愛猫の魅力やその人の世界観が伝わる一枚になると思います。

丸尾さん:ちなみに、私がカメラで猫を撮るときによく使っているのは標準レンズ。焦点距離が50mm前後のレンズで、寄れるタイプのものだと、大きく写せます。
スマホで撮影するときも、1.5倍くらいにズームして撮ることが多いです。ズームできると、距離が少し離れていてもほどよく寄った写真が撮れるので、背景に余計なものが写り込みにくくなります。
----丸尾さんのお写真は、ノンタンの一瞬の仕草や表情を捉えているように感じます。こうした瞬間的な写真は、どのように撮っているのでしょうか?
それでいうと、私は結構「あ、もうすぐここに来るな」と、あらかじめ予測して待っていることが多いですね。「今、机の上を歩き回っているから、次は椅子に座りにくるな」みたいな。

丸尾さん:さっきのお話とも少し通じるところがあるんですが、やっぱり普段からコミュニケーションをとっていると、そうやって猫の"一手先"を読めるようになる気がします。
あとは、信頼関係ができていると、名前を呼んだら来てくれるようになったり...。そういう積み重ねが、一瞬を切り取ることにつながっていくと思います。
写真をプリントして飾れば、大切な存在をそばに感じられる
左:+precious frame #002/右:WALL DECOR ギャラリー
----今回、丸尾さんには、これまで撮影されてきたノンタンの写真の中から2枚を選び、額装していただきました。あらためて、それぞれの写真を選んだ理由を教えてください。
「+precious frame #002」には、サイズが小さめだったので、家族写真のようにずっと眺めていたくなる写真を選びました。
これは、分子模型みたいなおもちゃの中に入っているときの写真なのですが、まるで子どもが遊んでいるところを切り取ったような愛おしさがあるなと思って選びました。
反対に、「WALL DECOR ギャラリー」はA3サイズの大きめサイズをチョイス。個人的に、説明的な写真を大きくプリントして飾ると、ずっと眺めるものとしては飽きてしまう気がして。
何年も飾っていられるように、あえて抽象的なものにこだわりました。
この写真は、部屋の奥まで光が差し込んでいる日に撮ったのですが、白く発光しているように見えるというか。白いノンタンが光に溶け込んでいるような様子が新鮮でこの写真を選びました。
----フレームやマットの色はどのように選ばれましたか?
丸尾さん:「+precious frame #002」は、マット台紙全10色、フレーム全2色から選べたのですが、もともと落ち着いた色が好きなのと、家のインテリアに合いそうという理由から、ベージュの台紙にウォールナットフレームにしました。ちょうど家の壁の色ともよくなじんでいるなと感じています。
「WALL DECOR ギャラリー」は、中の写真の雰囲気や色味を踏まえて、白がよさそうだなと思ったんです。マットからサイドテープまでが地続きのように見えるほうがきれいなのではないかと、すべて白で統一しました。
----実際に仕上がりをご覧になって、いかがでしたか?
丸尾さん:どちらも額のつくりがとてもよくて、びっくりしました。クオリティが高くてしっかりしているのに、持ってみるとすごく軽くて、扱いやすいのも嬉しかったです。

包装もきれいなので、贈り物にもぴったりだなと思いました。
----それぞれ、どんなふうに飾ってみたいと感じましたか?
丸尾さん:「+precious frame #002」は、パソコンの横に置いて、作業中に疲れたときにちらっと眺めたいなと思っています。小さくて場所を取らないので、スペースを選ばないのもいいなと。

「WALL DECOR ギャラリー」は存在感があるので、余白がある壁に飾りたいなと思いました。広めのお部屋とも相性がいいんじゃないかなと思います。
----今回、写真を"自分のために"額装してみて、感じたことがあれば教えてください。
丸尾さん:これまで個展などで写真を額装することはあっても、家に飾るために額装したのは、今回が初めてでした。やってみて感じたのは、写真をプリントして飾るという行為は、大切な存在を手元に残しておくことなんだということ。
というのも私は、亡くなった祖母の写真をフォトフレームに入れて飾っているのですが、今回ノンタンの写真を額装してみて、その感覚とどこか近いものを感じたんです。
写真は実体のないデータだからこそ、プリントして飾ることで初めて"モノ"としてそばに感じられる存在になる。
ノンタンは今は元気ですが、もし仮にいなくなる日が来たとしたら、今回額装した写真がきっと支えになってくれるんだろうなと思います。

丸尾さん:そう考えると、プリントする前の段階である「今を撮ること」も、すごく大切なことのように思えてきました。
もう1匹の猫は実は今年で22歳。かなりの老猫で、足元もよたよたで、元気な姿ばかりではないので、最近はあえてあまり撮影していなかったのですが、そういった姿もこれからはきちんと残していきたいなと思います。
愛猫たちが生きているうちに、たくさんの瞬間を写真に収めていきたいです。
Writing by しばた れいな
Photo by 丸尾和穂
丸尾 和穂(@kazuho_maruo)
フォトグラファー。2025年に写真集『Dawn Chorus』を出版。愛猫のノンタンとウタと暮らしている。

